運がいい人はなぜ運を引き寄せるのか?脳科学と心理学が解き明かす「ツキを呼ぶ習慣」

なぜかチャンスを引き寄せ、常に良いタイミングで周囲の助けを得られる「運がいい人」は、私たちの身近にも存在します。彼らの「運のよさ」は単なる偶然ではなく、実は共通する習慣や、脳の特定の働きによって育まれていることが、心理学の視点から明らかになっています。本稿では、この「運の正体」とそのメカニズムに迫り、どのようにすれば私たちも「運を引き寄せる体質」になれるのかを解説します。この内容は、黒川伊保子氏の著書『運のトリセツ』(扶桑社)の一部を抜粋・編集したものです。

成功者に共通する「運のよさ」の正体はどこに?

トップ経営者や有名人といった成功者の中には、「運がいい人」が多いとよく言われます。あなたの周りにも、「欲しかった服がちょうどセールになっていた」「会いたいと思っていた人に偶然会え、それが仕事のチャンスにつながった」「休日の予定が恋人の休みと重なり、関係が深まった」など、常に何かしらの幸運に恵まれている人がいるのではないでしょうか。そうした人々と接すると、私たちもポジティブな気持ちになり、元気をもらえる気がします。この「運のよさ」の秘密は、実は私たちの「脳」の奥深くに隠されています。

人間の脳の回路は、わずか3%が顕在意識(自覚している意識)のために使われ、残りの97%は潜在意識のために使われているとされています。私たちは、自分では気づかないうちに、潜在意識で膨大な情報を処理し、受け取っているのです。その一例として、「カクテルパーティー効果」という聴覚の不思議が挙げられます。これは、カクテルパーティーのような騒がしい場所(日本人であれば駅の雑踏のような状況)でも、その場の音量よりもはるかに小さな声で自分の名前を呼ばれると、なぜか気づくという脳のフィルター効果です。これは、潜在意識が顕在意識の何倍もの情報をキャッチし、その中から必要な情報だけを選び取って顕在意識に上げているからに他なりません。つまり、潜在意識は私たちが知らないところで、非常に優れた仕事をしているのです。

運を引き寄せる秘訣を考える女性運を引き寄せる秘訣を考える女性

潜在意識のシグナルを捉え、「ツキを呼ぶ体質」を築く

例えば、家族の食事を担当する人々は、朝、家を出る家族の体調の変化を無意識のうちに感知し、夕飯のメニューに反映させていることがあります。筆者自身も、初夏にもかかわらず「今夜はお鍋にしよう」と思い立った晩、お鍋をつつきながら娘が「なんだか今日は体が冷えてて、お鍋嬉しい」と話すのを聞いた経験があります。そう言われてみれば、その朝、娘の体調がふと気になっていたことを思い出し、もしかすると彼女が風邪をひくのを未然に防げたのかもしれないと感じました。

このように、「潜在意識で感じ取ったことを、顕在意識に要領よく伝えられる」脳を持つ人は、自分も周囲もうまくいくようになります。結果として、「運がいい人」になるわけです。潜在意識の声をうまく拾える人は、病気知らずでいられるだけでなく、あらゆる面で物事をスムーズに進められます。様々な出来事に対して事前に手を打つことができるため、人間関係や会社のトラブルも未然に防ぐことが可能になります。さらに、スピリチュアルな領域、つまり目には見えない世界や自然現象まで察知して動けるほどの力を、運のいい人たちは持ち合わせているのです。この力は、分かりやすく言えば「直感力が優れている」ことにほかなりません。

直感がよく働くためには、「感性の領域」である小脳と右脳が適切に使われ、それらの信号を左脳に伝える「脳梁(のうりょう)」という部位が活性化していることが条件となります。

直感力を磨き、運を引き寄せるための実践的な習慣

脳梁を効率よく働かせるためには、いくつかの実践的な習慣が効果的です。まず、運動をしたり身体を動かしたりして小脳を鍛えることが重要です。次に、「気持ちを言葉にする」という癖をつけることも大切です。その際、「美味しい」「嬉しい」「あの映画はよかった」など、できるだけポジティブな言葉を使うように心がけましょう。運動によって小脳を活性化し、感動や感情を積極的に言葉で表現する習慣をつけたら、早寝早起きもまた鉄則となります。つまり、規則正しい生活を送ることが、直感を磨き、ひいては運をよくすると言っても過言ではありません。

私自身、企業コンサルタントとして多くの事業家と接する中で、成功している組織のリーダーたちに共通して見られるのは、「周囲を笑顔にする力がある」ことです。これは、「運がいい」と言われる人たちが必ず備えている、強力な能力の一つなのです。日々の小さな習慣が、私たちの脳を活性化させ、潜在的な能力を引き出し、結果として「運がいい人」へと導いてくれるのです。

結論

「運がいい人」は、単なる偶然によって幸運に恵まれているわけではありません。彼らは、脳の潜在意識や直感力を効果的に活用し、日々の生活の中で意識的あるいは無意識的に特定の習慣を実践しています。具体的には、顕在意識の何倍もの情報を捉える潜在意識の声をうまく拾い、それを直感力として行動に繋げる能力に長けているのです。この直感力を磨くためには、運動による小脳の鍛錬、ポジティブな言葉で感情を表現する習慣、そして規則正しい生活が不可欠です。これらの習慣は、病気を防ぎ、人間関係や仕事のトラブルを回避するだけでなく、最終的には周囲を笑顔にする力となり、真の成功と幸福を引き寄せる基盤となります。私たちもこれらの習慣を取り入れることで、「運を引き寄せる体質」を自ら築き、より豊かな人生を送ることが可能です。


参考文献:

  • 黒川伊保子 著, 『運のトリセツ』, 扶桑社