【ソウル=桜井紀雄】韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は5日、訪韓している中国の王毅国務委員兼外相とソウルで会談し、朝鮮半島の非核化に向けた中国の支援を求めた。王氏は「多国間主義と自由貿易の順守」を強調して米国を牽制した。文氏は習近平国家主席へのメッセージも伝え、「近くお会いすることを期待している」と述べ、来年早期の国賓としての訪韓を要請した。王氏の訪韓は2015年10月以来で、文政権に入って初めて。
韓国は習氏の年内訪韓を打診してきたが、習氏は6月に訪朝し、北朝鮮を優先する姿勢を示した。中韓両国は今月下旬に中国で開かれる日中韓首脳会談に合わせた首脳会談を調整しているほか、韓国政府当局者は「中国側も来年上半期の習氏の国賓訪問を真摯に検討している」と説明した。
文氏は「朝鮮半島の完全な非核化に向けたプロセスが重大な岐路にある」とし、中国の支援を求めた。王氏は「中韓は対話と協力を強化し、多国間主義と自由貿易、国際ルールを順守すべきだ」と強調した。王氏は康京和(カン・ギョンファ)外相との前日の会談でも米国を念頭に「一国主義」を批判しており、米国ではなく中国と歩調を合わせるべきだと文政権の取り込みを図った形だ。