政府が5日閣議決定した経済対策は、災害からの復旧・復興や経済の下振れリスク回避などの政策を盛り込み、国費は約7兆6千億円、地方分なども含めた財政支出は約13兆2千億円という大きさに膨らんだ。当初、国費を5兆円程度と見込む声が政府内にあったことを踏まえると、与党の要求にこたえ、「金額ありき」で策定が進んだ印象は否めない。真に必要な政策に国の資金が支出されたのか、どんな効果が生み出されたのかを検証し、将来の教訓とする視点が重要だ。
経済対策にどんなメニューを盛り込めるのか、各省庁が内々に本格的な検討を始めたのは10月下旬。安倍晋三首相が11月8日の閣議で策定を指示する、2週間以上も前だ。
政府内では当初、投入される国費の額について「5兆円程度」との見方が浮上していた。だが、この見方に与党関係者が反発。自民党の甘利明税制調査会長はメールマガジンで、経済の不確定要素を踏まえれば、6兆円規模を上回る対策が必要との見方を示した。
さらに20日には、自民党の二階俊博幹事長と公明党の斉藤鉄夫幹事長が会談し、令和元年度補正予算に関し、国の財政支出などを示す「真水」を10兆円程度とすべきだとの認識で一致。最終的には財政支出全体の額を約13兆2千億円とし、巨額対策と印象付けた。