イギリス・ノーサンプトンの街中で突如として現れた「蛍光グリーンのハト」が、SNS上で爆発的な注目を集めています。特に動画投稿アプリTikTokでは、「ノーサンプトンの緑のハトを探してみた」と題する動画が多数投稿され、合計400万回以上再生されるなど、異例の社会現象となっています。この鮮やかな色のハトは、なぜ出現したのでしょうか。
SNSで拡散:AI疑惑を払拭した異例の注目
この謎のハトは、ノーサンプトン中心部のオールセインツ教会の前で頻繁に目撃されており、BBCの取材班も現地での撮影に成功しています。インターネット上では、「AIで生成されたのではないか」「映像が加工されたものでは」といった憶測が飛び交いましたが、専門家は「画像や映像に加工の痕跡はない」と判断しており、実在することが確認されています。
英ノーサンプトン中心部でSNSの話題となった、人工的に染色されたとみられる蛍光グリーンのハト
ノーサンプトンに通勤するアレックス・ザンボン氏(33歳)は、「お昼休みによくあの辺で食事をするのですが、いつも誰かがハトを撮影しています。ロンドンから来たという人もいて、観光地ではないノーサンプトンにハト目当てで人が集まっているのは不思議な感じがします」と、この現象への人々の関心の高さを語っています。
専門家が指摘する「人工的な染色」の可能性
バードウォッチ・マガジンの編集者であるマイク・アリボーン氏は、この緑色のハトについて「世界中どこを見ても、このような鮮やかな緑色の羽を持つ野生のハトは存在しない」と断言しています。その上で、「元々は白いハトであり、人工的に染色された可能性が非常に高い」との見解を示しています。
実際に、2024年にはイギリス国内で青やピンクに染められたハトが保護された事例が複数報告されています。これらのハトのうちの1羽は、赤ちゃんの性別発表(ジェンダーリビール)イベントで使用されたことが判明しています。過去にも同様の事例があり、SNSトレンドや特定のイベント目的で動物が利用されるケースが見られます。
動物保護団体RSPCAからの深刻な警告
一方で、この蛍光グリーンのハトの出現に対し、動物保護団体のRSPCA(英国王立動物虐待防止協会)は深刻な警鐘を鳴らしています。RSPCAは、「鳥の羽毛を塗装したり染色したりする行為は、その健康に重大な悪影響を及ぼす可能性がある」と警告しています。
具体的な危険性として、RSPCAは以下の点を挙げています。
- 飛行能力の低下:羽毛が塗料で固まることで、自由に飛ぶことが困難になる。
- 捕食者からの危険増大:不自然な色は、捕食者から見つかりやすくなる。
- 有害な塗料の摂取:ハトが羽を清潔に保とうとして、塗料を飲み込んでしまう危険性がある。
さらにRSPCAは、過去にSNSのトレンドに影響された性別発表イベントなどで染色された鳥が、塗料の毒性により死亡した事例も確認されていると強調し、こうした動物への無責任な行為を目撃した場合は、RSPCAの公式サイトを通じて通報するよう強く呼びかけています。
まとめ
ノーサンプトンを賑わせる「蛍光グリーンのハト」は、その鮮やかな見た目で多くの人々の関心を集める一方で、人間が動物の生命や健康に与える影響について深く考えさせられる現象でもあります。専門家や動物保護団体からの警告は、娯楽やトレンドのために動物を傷つける行為の危険性を明確に示しています。私たちは、動物たちの安全と福祉を最優先に考える責任があることを再認識すべきでしょう。
参考文献
- 蛍光グリーンのハト、なぜ?英でSNS席巻:専門家が警鐘を鳴らす理由 (Yahoo!ニュース / HuffPost Japan)