政府は全国の小中学校のすべての児童・生徒が「1人1台」の状況でパソコン(PC)やタブレット型端末を使える環境を令和5(2023)年度までに整備するための政策を経済対策に盛り込んだ。学習へのICT(情報通信技術)の活用が世界に比べて遅れていることの改善や、地域間格差の是正を狙う。
総事業費は5千億円程度となるもようだ。有線・無線の構内情報通信網(LAN)の整備も進める。1人1台のPCを配備することで「学習履歴などのデータを利活用し、個別に最適で効果的な学びや支援が実現できる」(文部科学省担当者)とみる。
経済協力開発機構(OECD)が実施した各国の教育へのICT活用環境調査によると、日本の順位は48カ国・地域中で下から2番目だ。政府は令和4年度までに「3人に1台」を目指し、年間約1800億円を地方自治体に補助するなどしているが、今年3月末時点の実績は全国平均で5・4人に1台にとどまる。都道府県別でみた場合、1・8人に1台(佐賀県)から7・5人に1台(愛知県)までのばらつきもある。
背景にあるのは自治体任せの手法だ。これまで整備の予算は自治体の裁量に任される地方交付税交付金で措置され、自治体の判断で後回しにされることもあった。このため、今回は使い道が絞られている補助金として支給する。1台当たりの調達費が安く済むよう政府が自治体への情報提供などでも協力する。