先日、「めざましテレビ」で人気アイドルグループSnow Manのラウールさんが、お天気キャスターの食レポに「ありきたり」と辛口コメントし、SNS上で炎上した。かつて旧ジャニーズタレントに多く見られた「毒舌キャラ」だが、なぜラウールさんの今回の発言は特に批判を集めたのか。本稿では、その背景にある現代のテレビ業界と視聴者の意識変化について考察する。
事件の概要とSNSの反応
7月10日放送の「めざましテレビ」において、Snow Manのラウールさん(22)は、番組内のお天気コーナーで若手キャスターが披露した食レポに対し、「いや〜、ありきたりな食レポだなと思って」とコメントした。この発言は、SNS上で即座に「冷たい」「マウント的だ」「見ていて不快」といった批判的な声が相次ぎ、炎上状態となった。一方で、「バラエティーとして面白い」「彼らしいツッコミだ」といった擁護の声もあり、賛否両論を巻き起こしている。
ジャニーズ事務所と「毒舌キャラ」の変遷
ラウールさんは、パリコレモデルも務める抜群のスタイルと端正なルックスが持ち味。メジャーデビュー直前の加入という経緯もあり、自身の個性や存在感を強くアピールしたい意識があったのかもしれない。近年、Snow Manはバラエティー番組での活躍も目覚ましく、ラウールさん自身もメンバー間のやり取りで辛辣なツッコミを見せるなど、新たな一面をファンに示し人気を博している。旧ジャニーズ事務所(現:SMILE-UP.)には、過去にもタモリさんを相手に渡り合う木村拓哉さんや、切れ味鋭いトークが人気の坂上忍さんなど、いわゆる「毒舌キャラ」として成功したタレントが多数存在した。彼らの「毒舌」は、番組に刺激を与え、視聴者を楽しませる「スパイス」として機能していたと言える。
Snow Manのメンバーであるラウールがテレビ番組に出演している様子
変化するテレビ業界と視聴者の意識
しかし、現在のテレビ業界では、「軽くイジる」や「冗談めかしてツッコむ」といったコミュニケーションの形が成立しづらくなっている。特に相手が女性や年少タレントの場合、発言は容易に「無神経」「ハラスメント」「パワハラ」と見なされかねない。視聴者のコンプライアンス意識や人権感覚の向上により、テレビ番組におけるタレントの発言や行動に対して、より厳しい目が向けられるようになっているためだ。
フジテレビの過去事例とコンプライアンス強化
今回のラウールさんの発言があったフジテレビは、過去にも若手男性アナウンサーへの「容姿イジリ」が物議を醸した経緯がある。この件を受け、同局はコンプライアンス遵守に対する意識を特に強く持っているとされる。このような背景がある中で、ラウールさんのような影響力のあるタレントが「毒舌」を放ったことは、その異質さが際立ち、より注目を集める結果となった。
「めざましテレビ」での発言が注目を集めるSnow Manラウールの、若かりし頃のピュアな姿
ラウール発言が示唆するもの
ラウールさんの発言とその後の炎上は、単なる一タレントの失言に留まらない。それは、多様な価値観が尊重され、ハラスメントへの感度が高まった現代社会において、テレビ番組がどのように「面白さ」を追求し、視聴者との良好な関係を築くべきかという、業界全体の課題を浮き彫りにしていると言えるだろう。
ラウールさんの「毒舌」発言騒動は、現代テレビ番組における「面白さ」と社会的受容性の課題を浮き彫りにした。タレントは発言の影響を、番組側は高まるコンプライアンス意識に応える表現を模索する必要がある。これは、エンターテインメント業界全体が向き合うべき重要な転換点と言えるだろう。