年金月25万円でも赤字?老後資金の不安を解消する家計対策と節約術

多くの人が「老後は夫婦2人で年金暮らし」という理想を抱いていますが、現実には年金収入だけでは生活費が不足し、毎月赤字に陥るケースが少なくありません。総務省の2024年家計調査によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯では平均で月額約3万4058円、単身無職世帯では約2万7817円の赤字が生じていると報告されています。このような状況が続けば、貯蓄を取り崩し続け、「老後破産」のリスクも高まります。では、老後の赤字家計に直面した時、一体どのように対応すべきなのでしょうか。本記事では、年金生活での赤字家計を乗り切るための具体的な方法を解説します。

老後家計が赤字になる主な理由

65歳以上の夫婦のみの無職世帯の平均的な家計を見ると、月々の実収入は約25万2818円(このうち年金などの社会保障給付が約22万5182円)であるのに対し、実支出は約28万6877円となっています。この約3万4058円の差額が毎月の赤字となり、年間では約40万8696円もの貯蓄が目減りしていく計算です。

この赤字の背景には、定年退職による収入の大幅な減少と、生活費の高止まりがあります。現役時代と比べて収入が激減するにもかかわらず、急激に生活水準を下げることは容易ではありません。さらに、昨今の物価上昇や医療費の増加なども相まって、支出は増える傾向にあります。これらの複合的な要因が、多くの老後世帯を赤字家計に陥らせる原因となっています。

赤字家計を乗り切るための具体的な対策

老後生活における家計の赤字を解消し、安心して暮らすためには、多角的な視点からの対策が不可欠です。

1. 生活費の見直しと効果的な節約術

支出を減らすことは、赤字解消の最も直接的な方法です。特に効果的なのは、毎月固定でかかる費用の削減です。

  • 固定費の削減: 通信費は格安SIMへの乗り換えや光回線のプラン見直しで、大幅な節約が見込めます。保険も、本当に必要な保障に絞り込むことで月々の支払いを抑えることができます。
  • 変動費の節約: 買い物の回数を減らす、ネットスーパーを計画的に活用するといった工夫は、衝動買いを防ぎ、食費の節約につながります。外食を控え、自炊を基本にすることも有効です。また、古い家電を省エネ性能の高い製品に買い替えたり、不要な新聞購読を見直したりするなど、小さな節約の積み重ねが年間では大きな効果を生み出します。

2. 住まいの見直しで住居費を最適化

住居費は固定費の中でも特に大きな割合を占めます。老後のライフスタイルに合わせて、住まいを見直すことも検討する価値があります。

  • 賃貸の場合: より家賃の安い地域や、夫婦二人で暮らすのに十分なコンパクトな物件への引っ越しを検討しましょう。
  • 持ち家の場合: 広すぎる家であれば、売却して手頃なサイズの家に住み替えたり、一部の部屋を賃貸に出して収入を得たりする方法もあります。これは、住居費の負担を軽減しつつ、新たな収入源を確保することにもつながります。

3. 収入源の確保と拡大

支出を減らすだけでなく、収入を増やす工夫も重要です。健康状態が許すのであれば、65歳以降も働き続けることで年金に上乗せする収入を得られます。

  • 継続的な就労: フルタイムが難しくても、パートタイムや短時間の仕事、シルバー人材センターの活用などを検討しましょう。
  • 趣味や経験を活かす副業: これまでの経験や趣味を活かして、コンサルティング、手作り品の販売、オンライン講師など、年金収入を補完する収入源を確保することも可能です。

老後の家計を計算する老夫婦と貯蓄の減少を示す電卓老後の家計を計算する老夫婦と貯蓄の減少を示す電卓

4. 利用できる公的支援制度の活用

収入が一定水準以下の場合、国や地方自治体による公的支援を受けられる可能性があります。

  • 相談窓口: 市区町村の福祉課や地域包括支援センターに相談し、利用できる制度を確認しましょう。
  • 具体的な支援例: 生活保護制度のほか、医療費の自己負担額の軽減制度、介護保険料の減免、住民税の非課税措置など、様々な支援制度が存在します。これらの制度を適切に活用することで、家計の負担を大幅に軽減できる場合があります。

まとめ

年金月25万円という収入があっても、老後の生活が赤字になる可能性は十分にあります。総務省の家計調査が示すように、定年後の収入減少と生活費の高止まりは多くの家庭にとって現実的な課題です。しかし、生活費の見直し、住居費の最適化、収入源の確保、そして公的支援制度の積極的な活用といった多角的な対策を講じることで、赤字家計を改善し、安定した老後生活を送ることが可能です。早めに現状を把握し、計画的に準備を進めることが、安心して老後を迎えるための鍵となるでしょう。


参考資料: