石破首相の続投表明と党内波紋:麻生氏の「許されない」発言の背景

先の参議院選挙で自公両党が過半数割れの「歴史的大敗」を喫した翌日、石破茂首相は続投を表明しました。この決定に対し、与野党双方から厳しい声が上がる中、自民党の重鎮である麻生太郎氏が「石破首相の続投は許されない」と周囲に語っていたことが報じられ、政権の先行きに不透明感が漂っています。本稿では、石破首相の続投表明の背景と、党内でくすぶる「石破おろし」の動向、特に麻生氏の発言が持つ意味について深掘りします。

参院選「歴史的大敗」後の石破首相の続投表明

参議院選挙の投開票から一夜明けた7月21日、石破茂首相(68)は自民党本部での会見で、「今般の選挙結果に対する重大な責任を痛感しながらも、政治を停滞させないよう比較第1党としての責任、国家国民に対する責任を果たしていかねばならない」と述べ、続投の意思を固めていることを表明しました。

しかし、この続投表明には厳しい現実が突きつけられています。昨秋の衆議院選挙に続く自公両党の過半数割れ、さらに参院選の前哨戦と位置付けられた東京都議選での自民党の過去最低議席数での都議会第1党からの転落を含めると、石破政権は「3連敗」を喫した形です。立憲民主党の野田代表が「民意を無視して居座るのか」と疑問を呈するなど、野党からは即座に退陣を求める声が上がっています。また、自民党高知県連が石破首相の早期退陣を党本部に申し入れる方針であると報じられるなど、党内からの批判も今後さらに強まることが予想され、政権運営の多難さを物語っています。(政治部デスク)

麻生太郎氏が明かす「石破おろし」の動向

このような暗雲が立ち込める石破政権にとって、最も注目されるのが「石破おろし」の動きです。自公の過半数割れが濃厚となった投開票直後のテレビ朝日では、党最高顧問を務める麻生太郎氏(84)が、「石破首相の続投は許されない」と周囲に話していることが報じられました。

石破首相の続投表明と党内波紋:麻生氏の「許されない」発言の背景自民党総裁選での石破茂首相就任時、不機嫌な表情を見せる麻生太郎氏自民党総裁選での石破茂首相就任時、不機嫌な表情を見せる麻生太郎氏

そもそも、石破氏と麻生氏は長年の「犬猿の仲」として知られています。特に2009年、麻生政権下での衆議院解散を阻止しようと起こった「麻生おろし」に、当時閣僚であった石破氏が加担した過去があります。この確執は根深く、昨秋の自民党総裁選においてもその亀裂は顕著でした。麻生氏は、1回目の投票から当時経済安全保障担当相だった高市早苗氏(64)を支持するよう派閥メンバーに指示していたといいます。

しかし、高市氏との決選投票の末、石破氏が第28代総裁に就任。その際、麻生氏が見せた「不機嫌すぎる態度」は、祝福ムードとはかけ離れたものでした。決選投票が終わり、石破首相が新総裁として就任の挨拶に臨んだ際、壇上下手に座る岸田文雄総裁(当時)ら党役員に一礼した時、ほとんどの役員が応じて頭を下げたのに対し、麻生氏はわずかに頭を下げる程度でした。さらに、挨拶が終わって会場で大きな拍手が起こった際も、麻生氏は数回手を叩いたのみで、終始憮然とした表情を浮かべていました。その後、岸田氏が挨拶した際にはしっかりと拍手を送っていたことから、この対応の差はSNSでも注目され、「大人げない」といった批判が麻生氏に寄せられていました。(政治部デスク)

岐路に立つ石破政権の今後

立憲民主党をはじめとする野党は、「大連立」には否定的な立場を取っています。今回の選挙結果は、石破政権にとって極めて厳しい船出となりました。党内外からの退陣要求や、重鎮である麻生氏からの公然の批判は、今後の政権運営に大きな影を落としています。国民の負託に応え、停滞した政治状況を打開できるか、石破政権はまさに岐路に立たされています。今後の政局の動向が注視されます。


参考文献