2022年7月20日に投開票が行われた参議院選挙は、自民・公明両党が議席を減らし、減税を訴えた野党側が勢いを増す結果となりました。特に、国民民主党と並んで新たな勢力として注目されたのが、神谷宗幣代表(47)率いる参政党です。「日本人ファースト」を掲げ、東京選挙区ではさや氏(本名:塩入清香氏、43)が2位で当選するなど「台風の目」となり、計14議席を獲得。これにより、参議院で予算を伴わない法案を単独で提出することが可能となりました。この参院選で知名度を上げた参政党の存在は、各界の著名人も関心を寄せています。
中田敦彦が語る参政党の「二面性」と連立政権の可能性
お笑いコンビ・オリエンタルラジオの中田敦彦氏(42)は、自身のYouTubeチャンネルで今回の参院選を分析する動画を公開し、その中で参政党を高く評価しました。中田氏は、現与党である自民・公明両党が衆参両院で少数与党となったことから、国民民主党や参政党が連立政権の候補に挙がる可能性を指摘しました。
国民民主党については「徹底的に在野で交渉していくだろう」と予測し、連立政権入りは「国民民主の期待感からすると真逆」と分析。その上で、「どこが政権与党として連立入りする可能性があるのかというと、まず参政党が入ってくる可能性はありますよね」とコメントしました。
さらに中田氏は、「参政党という政党には二面性がある」と指摘し、同党の支持者について「無党派層と保守層を同時に取り込むことに成功している」と評価しました。「保守的なものを支持していることを自覚的にやっていない人たちも多いだろう」とも述べ、参政党の公式サイトトップ画面に《僕らは日本をあきらめない!》と記されている点に注目。これにより、政治に興味がない層や、保守・文化・国防・天皇制などにあまり関心がない層でも、ホームページを閲覧しやすいと分析しました。一方で、日本国旗がトップに表示される日本保守党とは対照的であることも指摘しています。
特攻隊の描写と支持層の受け止め方
中田氏は、参政党の参院選特設ページを閲覧すると「もう1個の面が出てくる」と語りました。そこには「日本人ファースト」という強い言葉が掲げられており、これが無党派層と保守層の間をつなぐキーワードになっていると解説。「日本人だけど『なんだか最近元気なくしてる、自信なくしてる、嫌だなぁ』と思っている人たちも取り込み、すごい保守的な考えを持っている人も取り込む、中間的な間をつなぐ一番のキーワードになっている」と補足しました。
続けて、特設サイトの別ページには「これまで海外からの攻撃を日本の英雄が守ってきた」という記載があり、聖徳太子や西郷隆盛らと共に特攻隊の絵が描かれている点を指摘。これは《これ以上、日本を壊すな!》というキャッチコピーが記されたページを指しているとみられます。中田氏は「特攻隊というものを政党の参院選特設ページの画面に大きく出しているのが、非常に大きな特徴」だとし、支持者の受け止め方について分析しました。
「特攻隊や日本のかつての太平洋戦争に対してどういう考えを持っているかによって、受け止め方が変わってくると思う。それに対して非常に熱い思いを持っている保守的な人たちは強く支持するだろうが、ライトユーザーの無党派層の人たちはそこまで見ない」と中田氏は推察。参政党の公式サイトではトップページと参院選特設ページをスクロールして表示されるメッセージに“温度差”があることから、「無党派層と保守層を両面取ることができた」「日本保守党がかなり保守的な色合い1本で押していることと対極的で、こちら(参政党)の方が伸びている」と感じたといいます。
参院選で躍進した参政党の神谷宗幣代表。
ネット戦略の巧みさ:YouTubeショートの驚くべき影響力
中田氏は、参政党が躍進したもう一つの個性として「ネット戦略が非常に上手かった」と高く評価しています。今回の参院選では、神谷代表の街頭演説を切り取ったショート動画がYouTubeやSNSで広く拡散されました。国民民主党と参政党がインターネットを駆使して支持を広げたように、中田氏は個人で手軽に発信できるYouTubeの方が高いアピール効果を持つと見ています。
「スマートフォンで見るメディアだからこそ、個人の力や気持ちが乗っかっている方が視聴者に近い」と指摘し、「政党のチャンネルはあまりウケていない」「誰が、どれくらいの熱量で発信しているかが大事」と力説。熱量を持っている人物として、2018年から個人チャンネルを運営する国民民主党の玉木雄一郎代表(56)の名前を挙げました。
「今回、かなり議席を減らしているところ(政党)と、ホームページやSNS戦略を見ると差がはっきりしている」と中田氏は述べ、公明党や共産党を「クラシカル」と表現し「ネット戦略に対して少し抵抗感があるのかなと思う」と推察。その一方で、「ホームページの作りなどを見ていると、やはり国民民主党や参政党の方が見やすい」と称賛しました。
さらに、中田氏は「参政党さんに関して言うと『YouTubeショート』ですよね」と強調。小学6年生の娘もスマートフォンでYouTubeのショート動画を見ていると明かし、「ショート動画を見ると10本に1本が選挙関連の動画が出てくる。小学生ですよ?」と驚愕したエピソードを紹介しました。娘に「どこの党を知ってるの?」と尋ねたところ、「参政党という政党があるんでしょ?」と返答されたといいます。
キャッチコピーと国民の政治関心の高まり
こうしたエピソードを踏まえ、中田氏は国民民主党と参政党それぞれの“強み”を次のように論じています。「YouTubeというところでかなり力を入れていてリテラシーが高いのは国民民主党。YouTubeショートというところの戦略にかなり力を入れていたのが参政党。その両党ともホームページは非常に見やすく、キャッチコピーが分かりやすい。『手取りを増やす』『日本人ファースト』、これ分かりますよね? では、他の党のキャッチコピーって分かりますか? ということなんですよ。これは、ネット戦略とキャッチコピーのコピーライティングが非常に重要になってくるのです」。
その理由として「今、多くの人が政治に関心を持ち始めているから」とコメント。主に無党派層が関心を持ち始めているとし、今回の参院選で期日前投票の人数や投票率が上昇したことを踏まえ「日本人は今、選挙に対してものすごく関心を持ち始めてるんですよ」と熱弁しました。
まとめ
オリエンタルラジオの中田敦彦氏は、参院選で躍進した参政党に対し、国民民主党と同様に高い評価を与えました。参政党の成功は、無党派層と保守層の両方を巧みに取り込む「二面性」を持ったメッセージ戦略と、「YouTubeショート」を最大限に活用した先進的なネット戦略にあったと分析しています。この分析は、現代の政治において、デジタル戦略と明確なキャッチコピーがいかに重要であるかを浮き彫りにしています。中田氏は参政党が躍進したことについて改めて“個別授業”をする意向を示しており、神谷氏との対談が実現するのか、今後の動向が注目されます。