お金持ちになる道は数多く存在しますが、その一つとして次世代の「マグニフィセント7」(GAFAM、テスラ、エヌヴィディアといった巨大IT企業に続く新たな成長株)を発掘することが挙げられます。かつてのアップルやアマゾンも、始まりは1株1ドル以下の時代がありました。現在、米国投資家たちが熱い視線を注いでいるのはエネルギー業界であると、IWAグローバル経済研究所代表の岩永憲治氏は指摘します。本稿では、岩永氏の著書『トランプ経済 グレート・クラッシュ後の世界』(集英社)の一部を抜粋・再編集し、今後の世界経済の動向と、それに備えるための投資戦略について考察します。
グレートリセットが迫る世界経済と推奨される資産配分
筆者である岩永氏は、これまでの著作や発信を通じて、世界経済に関する自身の大局観を共有してきました。彼は、来るべき「グレートリセット」を前に、投資資金の分散を強く推奨しています。具体的には、個々のアセット・アロケーションを、現金40~50%、ゴールドまたはゴールドETFに20%、短期米国債または米国債ETFに10%、電力・石油・資源エネルギー関連株、世界公益株またはそれらのETFに10%、そして一部を暗号資産などにシフトすることを提案しています。
このグレートリセットは、2025年から少なくとも2~3年間継続されると予測されており、金融暴落から米国株式市場の崩壊、そして金融恐慌へと発展する可能性が高いとされています。さらに、この金融恐慌はグローバルベースで同時多発的に波及する恐慌へと発展していくことも危惧されています。
投資戦略を思案するビジネスパーソンのイメージ
米国経済の「蘇る金狼」と次世代の投資機会
しかし、このような厳しい局面にあっても、米国経済と米国企業は計り知れない底力を持ち、「転んでもただでは起きない」と岩永氏は捉えています。2028年から2033年頃までには、米国経済はまるで「蘇る金狼」のように息を吹き返し、米国ならではの独特な力強さを大いに発揮するだろうと予測されています。ただし、ニューヨークダウやS&P500といった主要株価指数のV字回復は見込めないとも指摘されています。
金融恐慌や世界恐慌が落ち着く5年から8年先には、多種多様な業種・産業・市場において、世界最先端の技術力を持つ企業が特定の市場を爆発的に席捲する時代になっていると、岩永氏は考えています。現在市場を牽引する「マグニフィセント7」ではなく、その「次世代のマグニフィセント7」が確実にかつ驚異的に台頭してくることでしょう。
現在の「マグニフィセント7」と新たな潜在的成長株
現在の「マグニフィセント7」とは、アルファベット(グーグル)、アマゾン、アップル、マイクロソフト、メタ(旧フェイスブック)を総称するGAFAMに、NVIDIAとテスラを加えた、米国を代表する時価総額上位のビッグ・テック企業群を指します。世界中の誰もが「マグニフィセント7」という言葉すら知らなかった時代に、これらの企業がそうであったように、次世代の「マグニフィセント7」として期待される新たな企業群は、今はまだその莫大なエネルギーを“蓄積”している段階にあると見られています。
結論
岩永憲治氏の分析は、来るべき金融恐慌「グレートリセット」への周到な準備と、その後の米国経済の回復期における新たな投資機会の探索の重要性を示唆しています。主要株価指数の劇的な回復は見込めないものの、特定の分野で世界最先端の技術力を持つ「次世代のマグニフィセント7」が台頭する可能性に注目し、投資家は賢明な資産戦略を立てる必要があるでしょう。
参考文献
- 岩永憲治『トランプ経済 グレート・クラッシュ後の世界』(集英社)