スティーブン・コルベア司会『ザ・レイト・ショー』2026年5月終了へ:人気番組に何が?

アメリカで高い人気を誇るCBSの深夜トークショー番組「ザ・レイト・ショー」が、2026年5月に終了することが発表されました。CBSとその親会社であるパラマウントが17日、この決定を公表。2015年から10年間にわたり番組の司会を務めてきたベテランコメディアン、スティーブン・コルベア氏は、その鋭い政治風刺で知られ、特にトランプ前大統領を頻繁にネタにして批判することで注目を集めてきました。この突然の発表は、米国内で大きな波紋を広げています。

アメリカの人気深夜トークショー『ザ・レイト・ショー』の司会を務めるスティーブン・コルベア氏。アメリカの人気深夜トークショー『ザ・レイト・ショー』の司会を務めるスティーブン・コルベア氏。

突如の番組終了発表にNY市民が抗議デモ

人気番組の突然の終了発表は全米で大きな話題となり、これを知ったニューヨーク市民は21日、番組収録会場であるエド・サリバン劇場の前に集結。プラカードを掲げ、「コルベア辞めるな」「トランプ辞めろ」と声を上げ、抗議集会を行う事態に発展しました。番組終了が報じられた直後、コルベア氏は番組のオープニングで早速ユーモアを交え、「キャンセル文化もついにここまできたか」とコメント。続けて、「来年5月でこの番組は終わりになる。CBSの『ザ・レイト・ショー』自体が終わるんだ」と、番組自体の終了であることを明らかにしました。これに対し、惜しむ観客からブーイングが上がると、コルベア氏は「もう容赦しない」と開き直りとも取れる一言。さらに「これで権力に媚びず率直な真実を話せるようになった」と強気の表情を見せ、自身のスタンスを崩さない姿勢を示しました。

ニューヨークのエド・サリバン劇場前で『ザ・レイト・ショー』終了に抗議する市民たち。プラカードには「コルベア辞めるな」の文字が。ニューヨークのエド・サリバン劇場前で『ザ・レイト・ショー』終了に抗議する市民たち。プラカードには「コルベア辞めるな」の文字が。

囁かれるトランプ大統領の「忖度」とCBSの釈明

今回の番組終了には、トランプ前大統領と放送局CBSの間に過去の因縁が影響しているのではないかという憶測も飛び交っています。実は、CBSが過去に放送した別の番組内容について、トランプ前大統領が「偏向している」と昨年提訴し、CBS側が巨額の損害賠償を支払う形で和解に至った経緯があります。このため、今回の「ザ・レイト・ショー」終了は、トランプ前大統領による圧力や、放送局側が忖度した結果ではないかとの噂が広まっています。これに対し、CBS及びパラマウントはプレスリリースで、「終了は番組に関する純粋に金銭的な判断」であり、「番組の演出や内容、またはパラマウントを巡ることに絡んだものではない」とコメント。トランプ政権からの圧力の可能性を否定しました。しかし、コルベア氏はこれに対し、「おいおい、この時間で視聴率ナンバー1の番組に金がないとはどういうことなんだ?」と、放送局の発表にも疑問を投げかけました。

アメリカの政治とメディアを巡るニュース報道のイメージ。CBSとトランプ大統領の間に過去の因縁が報じられている。アメリカの政治とメディアを巡るニュース報道のイメージ。CBSとトランプ大統領の間に過去の因縁が報じられている。

スティーブン・コルベア氏が司会を務める人気深夜トークショー「ザ・レイト・ショー」の終了は、公式には金銭的な判断とされていますが、その背景にはトランプ前大統領とCBSの間の過去の訴訟問題が影を落とし、政治的圧力や「忖度」の可能性が囁かれています。コルベア氏自身の番組内での発言も、この憶測をさらに深めるものとなりました。長年にわたり政治風刺で視聴者を魅了してきた同番組の幕引きは、アメリカのエンターテイメント界だけでなく、政治とメディアの関係性にも一石を投じることになりそうです。