米国、韓国に貿易と安保で圧力強化:「同盟の現代化」と戦作権移管の行方

米国が韓国に対し、貿易関税賦課の猶予期限を前に「韓米2プラス2通商協議」を一方的に延期しました。これは、米国が韓国から更なる譲歩を引き出そうとする圧力と見られます。同時に、安全保障分野の「同盟の現代化」も求められ、トランプ政権の圧力が貿易と安保のツートラックで強まっている状況です。

「同盟の現代化」の内容:防衛費増額と地域役割拡大

米国は対韓外交協議で「同盟の現代化」を継続的に要求しています。直近の米韓協議では、韓米同盟を「未来型包括的戦略同盟」へ強化し、変化する域内安保環境への適応案が議論されました。これには、インド太平洋戦略における韓米同盟の役割拡大(台湾海峡、南シナ海、東シナ海問題など)と、韓国が国防費を国内総生産(GDP)の5%まで増額する要求が含まれます。外交部は、台湾有事に関する韓米外務次官協議での言及報道を否定しています。

米韓防衛協力の強化を巡る会談の風景米韓防衛協力の強化を巡る会談の風景

対中戦略としての同盟再編の背景

「同盟の現代化」は、第2次トランプ政権になって突然浮上した要求ではなく、長年にわたる米国の対中戦略の一部です。中国の軍事・経済的影響力拡大を背景に、米国は韓国をはじめ日本やフィリピンなど同盟国を巻き込み、中国に対する競争負担を軽減しようとしています。昨年10月の韓米安全保障協議会議(SCM)では、「インド太平洋地域における韓米同盟の安全保障協力枠組み」が承認され、共同声明で韓米同盟が「朝鮮半島だけでなくインド太平洋地域の平和と安定のための中心軸」であると明記されました。

トランプ政権下の戦略深化と韓国への影響

エルブリッジ・コルビー米国防次官(政策担当)を中心に、第2次トランプ政権はこの戦略をさらに具体化し、同盟国への圧力を強化しています。今年8~9月に公開される米国の新国家防衛戦略(NDS)や「地球規模の米軍態勢見直し」(GPR)で、具体的な案が提示される見込みです。これにより、在韓米軍の削減や再配置、韓国の台湾問題への立場、そして戦時作戦統制権(戦作権)の移管問題が本格的に浮上する可能性があります。韓国にとって、この「同盟の現代化」は国防費負担の急増や中国との緊張激化につながる恐れがあります。

一部では韓国政府が関税交渉と戦時作戦統制権(戦作権)移管を同時に協議しているとの主張もありますが、現政府はこの問題を結び付けていません。政府高官は、戦作権移管はいずれにせよ進む方向であるとしつつ、現在の関税交渉とは全く関連がないと強調。外交分野の元高官も、戦作権移管は米国の国防政策の流れであり、関税交渉案とは別の事案であると述べています。まずは貿易交渉の進展を図り、その後の米韓首脳会談で貿易と安保問題を包括的に解決することが期待されます。

参考文献

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