韓国消費クーポン、受給額明記が物議 ― 「プライバシー侵害」と懸念の声

韓国政府が配布する「民生回復消費クーポン」のプリペイドカードに受給金額が明記されていることについて、「基礎生活保障受給者であることが周囲に知られる可能性がある」との指摘が上がっている。7月21日の申請開始日、釜山市の市民が「43万ウォン(約4万5957円)」と記されたカード写真をオンラインコミュニティに投稿、「なぜ金額を印字するのか。恥ずかしい」と不満を表明し、波紋を広げている。

支給制度と受給額印字の現状

この消費クーポンは所得に関わらず全ての国民に基本15万ウォン(約1万6035円)が支給される。生活保護に準ずる低所得世帯やひとり親家庭には30万ウォン(約3万2070円)、基礎生活保障受給者には40万ウォン(約4万2760円)が支給される仕組みだ。さらに、ソウル・京畿道・仁川を除く首都圏外の住民には3万ウォン(約3207円)が、農漁村の人口減少地域に居住する住民には5万ウォン(約5345円)が追加され、初回最大支給額は45万ウォン(約4万8105円)となる。

韓国の民生回復消費クーポン、受給額が印字されたプリペイドカードの例韓国の民生回復消費クーポン、受給額が印字されたプリペイドカードの例

ソウルなど一部の自治体では金額が印字されていないカードが配布されている一方、釜山、慶尚南道、江原道など、多くの自治体では受給金額が明確に印刷されたカードが配布されているのが現状である。

ユーザーからの懸念と賛否の声

この件を巡っては、「カードに金額が印字されていることで、決済時に自分が基礎生活保障受給者であると他人に知られるのではないか」という懸念が広がった。

あるネットユーザーからは「社会的弱者への配慮がまるでない」「カードを見ただけで受給者かどうかわかる」「本人が恥ずかしいと感じることが問題」と厳しく批判する声が上がっている。

一方で、「シールを貼れば済む話ではないか」「高齢者は印字がないと金額を忘れる場合もある」「学生の給食カードと違い、これは一時的なクーポンカードだ」と、受給額印字を擁護する意見も見られる。

今回の消費クーポン受給額印字問題は、受給者のプライバシー保護と制度の透明性・利便性という、福祉政策における重要な課題を浮き彫りにした。社会的弱者への配慮が求められる中、受給者が不必要な心理的負担を感じることのないよう、今後の政府支援策ではより慎重な制度設計が不可欠となる。

(c) KOREA WAVE/AFPBB News