中国の交流サイト(SNS)上で、昭和天皇を侮辱する極めて悪質なショート動画が多数拡散していることが判明しました。これは、9月3日に迫る「抗日戦争勝利80年記念行事」を前に、中国国内で反日キャンペーンが過熱する中で起きています。これらの動画は、日中関係に新たな緊張をもたらし、中国在留邦人の安全に対する懸念も高まっています。日本政府、特に外務省に対し、中国側への厳重な対応要請が強く求められる状況です。
AIを悪用した昭和天皇侮辱動画の実態
問題の動画は、主に中国の動画投稿アプリ「快手(クアイショウ)」に投稿されており、複数の種類が確認されています。特に目立つのは、昭和天皇の青年期の写真とみられる画像を用いて人工知能(AI)が生成した動画です。AIによって生成された人物が、四つんばいになって犬のように吠えたり、這い回ったりする内容が含まれています。中には、昭和天皇がダグラス・マッカーサー元帥と初めて会見された日付とともに、「マッカーサー将軍が犬をしつける貴重な映像」といった侮辱的なテロップが表示されるものもあります。中国文化において、人を犬に例える行為は極めて強い侮辱を意味します。
反日感情に基づくSNS投稿は以前から無数に存在しますが、昭和天皇を直接的に侮辱する今回の投稿は、中国問題の研究者や外交関係者の間で「中国も行きつくところまで行ってしまった」との声が上がるほど、その悪質性と深刻度が際立っています。さらに、これらの動画が削除されることなく野放しにされている現状から、中国共産党政権が事実上これを黙認している可能性も指摘されています。
中国SNSでの昭和天皇侮辱動画問題と日本外務省の対応
中国国内で高まる反日感情の背景
中国は今年を「抗日戦争勝利80年」と位置付け、国内で広範な反日キャンペーンを展開しています。7月には旧日本軍による南京占領を題材にした映画が公開され、さらに満州事変の発端となった柳条湖事件が起きた9月18日には、旧日本軍の関東軍防疫給水部(通称731部隊)を主題にした映画の封切りも予定されています。こうした動きは、国民の反日感情を意図的に煽るものとみられ、今回の昭和天皇侮辱動画の拡散も、その一連のキャンペーンの中で発生しています。
反日感情が国内で高まるにつれて、中国に在留する日本人、いわゆる在留邦人の安全が脅かされる懸念が深刻化しています。日本政府は、邦人の安全確保についても注視し、必要な措置を講じる必要があります。
専門家が警鐘を鳴らす「一線を越えた」表現
中国問題の専門家である日本維新の会の石平参院議員は、今回の事態について強い懸念を表明しています。「中国は江沢民政権以来の反日教育で日本の戦争責任を追及してきたが、中国政府にも遠慮があって、直接矛先を天皇に向けることはなく、東条英機元首相までにとどめていた。民間とはいえ、天皇を標的にするのは一線を越えたといえる」と指摘しています。
石平議員は、このような風潮が今後さらに広がれば、単なる戦争責任の追及に留まらず、日本という国家そのものを根幹から否定する動きにつながる危険性があるとして警鐘を鳴らしています。そのため、「日本政府は中国政府に対し、厳重な対処を求めるべきだ」と強く主張しており、外交的な対応の重要性が増しています。
結論
中国SNSで拡散する昭和天皇を侮辱する動画は、単なるネット上の悪ふざけではなく、中国の反日キャンペーンの激化と、それに対する中国政府の黙認が示唆する深刻な外交問題です。これは日中関係のさらなる悪化を招き、中国在留邦人の安全を脅かす可能性もはらんでいます。日本政府は、この「一線を越えた」行為に対し、毅然とした態度で中国政府に厳重な対処を求め、日本の尊厳と国民の安全を守るための具体的な外交的措置を講じるべきです。
参考文献: