韓国の人気俳優イ・ドンウクの過去の発言が、中国のネットユーザーによって再び取り上げられ、中韓両国のインターネット上で大きな議論を巻き起こしています。特に中国の短文投稿サイト「微博(ウェイボー)」では、「イ・ドンウク、韓国は月餅を食べません」というハッシュタグがリアルタイムのトレンドトピックに急浮上。この話題に関する投稿数は3万2000件、閲覧数は1億回を超えるなど、その関心の高さが伺えます。これは、両国間の文化に対する認識の相違が、再びオンライン上の対立に発展した一例と言えるでしょう。
発端は「韓国では月餅を食べません」発言
この一連の騒動の発端となったイ・ドンウクの発言は、2024年9月の秋夕(チュソク、韓国の旧盆)に関連して飛び出したものです。ファンプラットフォーム「Bubble(バブル)」を通じて、一部の中国ファンから「韓国でも秋夕に月餅(中国の中秋節の伝統菓子)を食べるのか」という質問が寄せられました。これに対し、イ・ドンウクは「中国のファンのみんな、韓国では月餅を食べません。祝日(の過ごし方)は国によって違うんです」と明確に回答しました。さらに、「月餅の話はもうやめよう。うち(韓国)では松餅(ソンピョン、韓国の伝統的なお餅)を食べるんです」と補足し、韓国の伝統的な習慣を説明しました。
イ・ドンウク氏の肖像。韓国の俳優イ・ドンウクが月餅に関する発言で中韓のネット論争に巻き込まれた様子を示唆する。
このイ・ドンウクのコメントは、中国語に翻訳された形でソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)上で瞬く間に拡散され、中国のネットユーザーの間で予想外の大きな反響を呼びました。
中国ネットユーザーからの批判と背景
中国のネットユーザーたちは、イ・ドンウクが「中国のファンたちへ、韓国では月餅を食べない」と答える際に、目を上に向ける絵文字を使用したことを問題視しました。彼らはこの絵文字の使用を「中国文化(月餅)を軽んじた行為だ」と強く批判。一部のユーザーからは、「いずれ韓国が月餅も“自国の食べ物だ”と主張し始めるのではないか」といった、文化の盗用を懸念する声まで上がりました。これは、近年頻発する中韓間の文化起源論争が背景にあると見られます。
韓国ネットユーザーの反論と見解
これに対し、韓国のネットユーザーたちは冷静ながらも強い反論を見せています。「イ・ドンウクは正しいことを言っただけではないか」「食べないものを“食べない”って言っただけだろ」といった擁護の声が多数を占めました。さらに、月餅の起源に関する中国側の主張に対しては、「文化を盗むのは自分たちなのに、何を言ってるんだ」と反発し、中国側こそが歴史や文化の事実を歪曲していると指摘する意見も散見されました。この論争は、両国間の歴史的・文化的な認識の相違が、エンターテイメント分野にまで波及している現状を浮き彫りにしています。
今回のイ・ドンウクの発言を巡る騒動は、些細な文化的な差異に関する言及が、瞬く間に国際的なネット論争へと発展し得る現代のSNS社会の特性を示しています。特に文化的な背景が異なる国々において、誤解や対立を避けるためには、より一層の相互理解と配慮が求められるでしょう。
参考文献
- KOREA WAVE/AFPBB News (2025年8月26日). 『イ・ドンウクの月餅発言、中韓ネットで波紋』. Yahoo!ニュース.
https://news.yahoo.co.jp/articles/0c2951988f13bc430ea4a2ca0662a864a9876030