竹中平蔵氏、石破茂氏の2万円給付案を一刀両断 「日本の経済停滞と奇策の深層」

経済学者であり、かつて小泉純一郎政権下で構造改革を断行した竹中平蔵氏が、石破茂氏が提唱する2万円給付案を「目的がわからない究極の手抜き」と厳しく批判した。なぜ日本は何十年もの間経済成長を果たせず、不可解な政策が繰り返されるのか。この問題について、竹中氏と『令和の虎』二代目主宰の林尚弘氏が日本の未来を巡る本音の議論を展開。この対談は、日本の政治・社会経済の現状と課題を深く掘り下げ、読者に有益な情報を提供する。

政府・与党が消費税死守に必死な背景とは?

竹中氏は、低所得者が所得税を支払わないのは理解できるとしつつも、政治的には非常に批判を浴びるであろう前置きの上で、中所得者層もほとんど所得税を支払っていない現状を指摘する。実際には、高額所得者層が所得税の大半を負担している状況だという。本来、所得税制度を適切にするならば、中所得者層にもっと税負担を求めるべきだが、それは政治的に極めて困難であるため、政府は消費税に依存せざるを得なくなっている、と竹中氏はその背景を解説した。

日本に実質的な「人頭税」がまかり通る現状

林氏が、年収が低い層も社会保険料を支払っている点を挙げ、「社会保険料は良い制度なのでは」と問いかけると、竹中氏はそこに非常に興味深い側面があるとした。社会保険料、例えば国民年金の基礎年金は、ある程度定額で支払われる。これは実質的な人頭税、すなわちサッチャー政権が試みて果たせなかった人頭税が、日本では年金という形で事実上存在している状態だと竹中氏は指摘する。この実質的な人頭税は、確かに低所得者層には重い負担となっている。この状況に対し、竹中氏は社会保障制度全体の変更は非常に複雑であるため、マイナンバー制度を活用した給付付き税額控除の導入がより現実的であるとの見解を示した。

日本の経済政策を議論する経済学者・竹中平蔵氏と『令和の虎』二代目主宰・林尚弘氏日本の経済政策を議論する経済学者・竹中平蔵氏と『令和の虎』二代目主宰・林尚弘氏

「負担が重い」は誤解、最大の問題は「所得の低さ」

林氏が、低所得者層にとって社会保険料が重いのは理解できるが、制度維持のためには支払いも必要なのではないか、と質問すると、竹中氏は「重すぎる」という表現自体が適切ではないと反論した。真の問題は「所得が低すぎる」ことにあると強調する。つまり、もっと国民全体の所得を向上させる政策が前面に打ち出されるべきであるのに、現状は低所得であることを前提として「何とかしてあげる」という、極めて短期的な視野に基づく政策ばかりが毎年進められていることに警鐘を鳴らした。日本の経済的課題の根源は、短期的な給付ではなく、持続的な所得向上策の欠如にあると結論付けた。

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