日米交渉の合意を受け、日本政府は25日、米国の関税措置に関する総合対策本部の会合を首相官邸で開いた。今後、日本から米国への輸出品に15%の「相互関税」が課されることを受け、石破首相は関係閣僚に対し、中小・小規模事業者への支援などの対策を指示した。米国との合意内容について、進捗(しんちょく)状況の管理を行うことも明らかにした。
具体的な対策としては、日米の合意や各国の交渉状況を踏まえ、企業への影響の分析などを進める。全国約1000か所に設置した相談窓口を通じ、4300程度の対米輸出品目に関する問い合わせに応じたり、事業者の資金繰り支援や雇用維持対策などを行ったりする。
合意内容の進捗状況を管理するため、関係省庁で構成する「総合対策タスクフォース(作業部会)」の機能を強化する。米国側の交渉統括役のベッセント財務長官は、日本の合意の実施が不十分であれば対日関税率を再度見直す考えを示していた。
一方で日本政府は25日、日米の合意内容の概要を公表した。日米の発表内容には一部ずれがあり、米国側は発表で触れなかった自動車関税の税率について、基本関税の2・5%と合わせて15%になるとした。大豆などの農産物や航空機などの米国からの購入を拡大するとしたが、日本側は数量を明らかにしなかった。
半導体や医薬品については、「仮に分野別関税が課される場合も、日本を他国に劣後する形で扱わない」として、米国側が追加関税を課しても、日本には最も低い他国の税率が適用されることになる。
米側が主張していた非関税措置の見直しでは、日本の基準に照らして安全性が確保されている米国製の乗用車は追加試験なしで輸入可能になる。燃料電池車(FCV)などエコカー購入者に対する補助金も見直すとしている。