ファン・ヨンウンの復帰支援金に波紋――1.2億円超が「現金で本人へ」の報道

過去に校内暴力や暴行歴などで活動を自粛していた韓国のトロット歌手ファン・ヨンウンが、ファンから現金1億2000万ウォン(約1282万円)以上の後援金を受け取っていたことが明らかになり、波紋が広がっている。この事実を韓国のSBS報道番組が7月18日に報じ、熱狂的なファン層が彼の復帰を支援するため「アルバム共同購入」という名目で現金を募り、その資金を直接ファン・ヨンウン本人に手渡していたと伝えた。

ファン・ヨンウン氏の肖像:疑惑の現金後援金問題で注目のトロット歌手ファン・ヨンウン氏の肖像:疑惑の現金後援金問題で注目のトロット歌手

「アルバム共同購入」で集められた巨額の資金

ファン・ヨンウンは2023年10月にミニアルバム「秋、恋しさ」を発表し、活動を再開した。これに先立ち、ファンたちは彼の復帰後、各音楽チャートで1位を獲得させるため、100万枚の売り上げを目指し大規模なアルバム共同購入キャンペーンを展開した。報道によると、あるファンは「歌が上手で1位は確実と思われた歌手が突然番組を降板したことが気になった」と語り、降板後もファンカフェの会員数はむしろ増加し、「トロット界で5番目に大きなファンダムになった」と説明した。

その結果、わずか4日間で15億ウォン(約1億6035万円)、1カ月で61億ウォン(約6億5209万円)以上という驚異的な金額が集まった。中には「大切な結婚指輪を売った」「生活保護費を充てた」といったファンの切実な証言もあったという。この熱心な支援により、アルバム販売枚数は50万枚を超え、テレビ出演がないにもかかわらず、各種トロット関連ランキングで首位を獲得するに至った。

1.2億円超の現金引き出しと直接手渡し疑惑

しかし、この大規模な資金集めの裏で問題が浮上した。アルバム購入資金の管理を担当していたファンカフェの元会計係が管理していた口座の取引明細が流出し、2023年8月29日から22日間にわたり、1日あたり100万ウォン(約10万6900円)ずつ、合計1億2000万ウォン(約1282万円)が「現金で」引き出されていたことが判明したのだ。

この資金は、ファンの要望により「収入がないはずのファン・ヨンウンを支援する」目的で、現金として直接本人に手渡されたとされている。元会計係は「各地域ごとの口座があり、金額を取りまとめて待機室で直接渡した」と具体的な手渡し方法を証言した。

所属事務所と業界関係者の見解

所属事務所は「地域ごとに1500万ウォン(約160万3500円)ずつ渡すようにした。証拠として贈与税も申告した」と釈明したが、業界関係者の多くは「トロット界に現金後援の文化は存在しない」と明確に否定しており、異例の事態であるとの見方を示している。

また、ファンが「レンタカー代もファンカフェの資金から出ていた」と主張した点についても、事務所側は「テレビで歌手の車が小さいと聞き、ファンがプレゼントとしてレンタカーを提供した。それほど運転していない」と説明した。

ファン・ヨンウンの過去の経緯

ファン・ヨンウンは2023年のトロットオーディション番組で有力な優勝候補として注目を集めていたが、過去の交際相手や軍隊時代の同僚への暴力疑惑、さらには傷害の前科が報じられ、決勝直前で自ら番組を降板する事態となっていた。今回の現金後援金疑惑は、彼の復帰とその背景にあるファンとの関係に新たな論争を巻き起こしている。

参考文献

  • KOREA WAVE/AFPBB News