サウジアラビアなど石油輸出国機構(OPEC)加盟国と、ロシアなど非加盟産油国で構成する「OPECプラス」が6日合意した追加の原油協調減産は、当初の予想を上回る規模となった。“サプライズ減産”を受けて原油価格は上昇し、1バレル=60ドルが目前に迫っている。ただ、世界経済の不透明感が原油への需要を下押しするなどして、供給が需要を上回る状況が続く可能性もあり、原油市場の先行きは読み切れない部分も多い。
OPECプラスは今回、来年1月から、2018年秋の水準と比べた減産幅を約170万バレルとすることで合意した。現在の減産幅は日量約120万バレルで、50万バレルの追加減産となる。減産の期限は従来通りの来年3月まで。
関係者の事前予想は、120万バレルの減産期間を6月まで延長するというのが大勢で、量的な追加減産には踏み込まないとの見方が強かった。会合開始直前に160万バレルへの引き上げが検討されているとも報じられたが、結果的にはこれらの予想を上回る追加減産規模となった。
OPECプラスは同時に減産期間延長の是非を3月上旬に協議することも決めるなど、今後の原油価格動向への備えも示した。
今回の合意を受け、6日のニューヨーク原油先物相場は上昇し、指標の米国産標準油種(WTI)の1月渡しが、前日比0・77ドル高の1バレル=59・20ドルと、9月中旬以来、約2カ月半ぶりの高値で取引を終えた。
石油連盟の月岡隆会長は7日未明に「需給引き締めに向けた強い意志の表明」と合意を評価するコメントを発表。同時に原油価格も、「上昇に転じ、(WTIで)50ドル台半ばで推移していたが、60ドル台に乗る可能性がある」との見方を示すなど、業界関係者は今回の決定を歓迎している。 予想を上回る追加減産の背景には、サウジが国営石油会社サウジアラムコの新規株式公開(IPO)を控えていることがあったとの見方もある。追加減産が原油価格上昇につながれば、アラムコの企業価値を向上させるとみられるからだ。
だが、米中貿易摩擦による世界経済の減速懸念は払拭されないままで、石油需要が伸び悩むことも想定される。またOPECプラスに参加していない米国のシェールオイルは増産や輸出拡大が続くと見込まれる。このため供給が多すぎる状況が続く可能性も高く、今回の決定で原油相場をどこまで下支えできるかは不透明だ。