ロシア南部のクラスノダール地方にある空軍基地で、今月25日夜から26日未明にかけて火災が発生し、ロシア軍が運用するSu-27UB航空機1機が破壊されたと報じられました。ウクライナ国防情報局(HUR)は27日(現地時間)、この件について公式フェイスブックを通じて発表し、ロシア空軍にとって高価な訓練用戦闘機が失われたことを明らかにしました。
ウクライナ国防情報局の発表詳細と航空機の価値
HURの発表によると、火災はクラスノダール地方のロシア空軍基地で発生し、Su-27UB航空機が消失したとのことです。Su-27UB戦闘機は、主にパイロットの訓練用に開発された複座型機ですが、実戦や偵察、要撃など様々な任務にも投入されてきた実績があります。この機体は前席と後席の両方に独立した操縦システムを搭載しており、教官と訓練生が同時に操縦できるのが特徴です。Su-27UBを含むSu-27系列の戦闘機は、通常3,000万ドルから4,000万ドル(日本円で約44億3,000万円から約59億円)に達する高額な航空機として知られています。
クラスノダール地方の空軍基地で炎上するロシア軍のSu-27UB訓練機
火災発生時の状況と基地の概要
公開された映像からは、クラスノダール地域アルマビル空軍軍事施設に駐機されていたSu-27UB訓練機が、液体状の発火物により炎上し、瞬く間に巨大な火炎に包まれる様子が確認できます。アルマビル軍事施設の飛行場は、主にクラスノダール航空学校の生徒らが訓練で使用する航空機が配備されている場所です。この火災により、ロシア軍の貴重な航空機と訓練能力に影響が出ることが予想されます。
内部犯行の可能性とウクライナ側の声明
ウクライナ軍側は今回の火災の原因について具体的な言及を避けたものの、「ロシア内部でクレムリン政権への抵抗が高まっている」と述べ、この事件がロシア軍内部の犯行である可能性を示唆しました。HURは関連映像とともに「今回の事故後、基地周辺の住民は通信網が途絶えたと口をそろえている」と付け加え、さらに「ウクライナ国民に対するすべての犯罪は報いを受けることになるだろう」と強調しています。この発言は、ロシア国内での抵抗活動に対するウクライナ側の強いメッセージと見られます。
今回のSu-27UB訓練機の破壊は、ロシア軍にとって高価な装備の損失であるだけでなく、国内での潜在的な抵抗勢力の存在を示唆する事件として注目されています。ウクライナ国防情報局の発表は、情報戦の一環としても機能しており、今後のロシア国内の情勢や軍事動向に影響を与える可能性があります。