トランプ米大統領は28日、ロシアがウクライナとの停戦に合意しない場合の制裁発動時期を「今日から10~12日以内」に前倒しすると表明した。これは従来の9月初めから大幅な加速で、ロシアへの圧力をさらに強めるものだ。大統領は、強硬な姿勢を崩さないプーチン露大統領に対し「非常に失望している」と述べ、対話への関心も薄れていることを示唆した。
制裁期限前倒しとウクライナの反応
トランプ大統領は、訪英中の英国北部スコットランドで、スターマー英首相との会談に際し記者団に語った。ウクライナのゼレンスキー大統領は28日、自身のX(旧ツイッター)で「和平への努力を損ない、戦争を長引かせているのはロシアだ」と強調。対露制裁の重要性を訴え、「この恐ろしい戦争を止めることに焦点を当てたトランプ大統領に感謝する」と歓迎した。
英国訪問中のトランプ米大統領、スコットランドで対露制裁強化を語る
ロシアの反応とトランプ氏の不満
一方、ロイター通信によると、ロシアのペスコフ大統領報道官は29日、制裁猶予の短縮について「留意した」と述べた上で、戦闘を続けながらも自国の利益を確保する和平プロセスに取り組んでいると主張した。トランプ大統領は、米国が停戦交渉を仲介する間にもウクライナへの激しい攻撃を続けるロシアに対し、いら立ちを募らせている。今月14日には、停戦合意が50日以内に実現しなければ、ロシアと取引する第三国に100%の「二次関税」を課すと表明しており、大量のロシア産原油を輸入する中国やインドなどが対象になると見られている。
進展の欠如と市民への攻撃への非難
猶予期限を短縮する理由について、トランプ大統領は「待っても仕方がない。何の進展も見られないからだ」と説明した。さらに、「何度も停戦交渉がまとまりかけたと思ったが、プーチン大統領はウクライナの首都キーウのような都市にロケットを撃ち込み、高齢者施設などの多くの人々を殺害している。それは正しいやり方ではない」と、ロシアの行動に対する強い不満をあらわにした。
トランプ米大統領による対露制裁期限の前倒しは、ウクライナ紛争解決に向けた国際社会の圧力を一層強めるものだ。プーチン大統領の強硬な姿勢、和平交渉の停滞、市民への攻撃継続が背景にあり、今後のロシアの対応と国際情勢の動向が注視される。
出典
Yahoo!ニュース (毎日新聞)
ロイター通信