参院選で共産党が「惨敗」:リベラル勢の苦境と未来への課題

先の参議院選挙では、自民・公明の与党が歴史的な大敗を喫し、2009年の政権交代以来16年ぶりに衆参両院で少数与党に転落するという異例の結果となりました。国民の厳しい審判は、首相を務める石破茂氏と与党に向けられたのは明らかですが、その陰に隠れて「敗者」となった勢力があります。それは、日本の政治における「リベラル勢」であり、中でも日本共産党の勢力減退は特に深刻な状況を呈しています。なぜ、日本のリベラル勢は国民の支持をここまで失ってしまったのでしょうか。

参院選における「隠れた敗者」:リベラル勢の苦境

今回の参院選では、与党の惨敗が大きく報じられましたが、野党第一党の座をかつて誇った社民党は、辛うじて政党要件を維持するのがやっとという状況です。また、旧民主党のリベラル勢の系譜を継ぐ立憲民主党も、議席を大きく上積みすることはできず、比例代表の得票数では4位にとどまりました。その中でも、最も厳しい結果に直面したのは日本共産党です。改選前の議席の半分以下となる3議席の確保にとどまり、その党勢の減退は誰の目にも明らかです。

日本共産党、目標を大きく下回る「手痛い結果」

参院選の大勢が判明した20日夜、共産党の田村智子委員長は、立憲民主党との選挙区調整に触れ、「多くの選挙区で自民党に打ち勝つという情勢を作ることができている」と手応えを語り、与党の敗北を歓迎する姿勢を見せていました。しかし、自党の結果については言葉少なく、その厳しさが浮き彫りになりました。全国紙政治部記者の指摘によると、「今回の参院選で与党が大きく票を減らしたことは事実ですが、共産党は自民以上に手痛い結果となりました」。東京選挙区では党の若手ホープである吉良佳子氏が盤石の3選を果たしたものの、投開票翌日には京都と埼玉の現有議席を失い、改選4議席から2議席へと半減する事態に。比例投票先で野党トップに躍進した参政党の勢いとは対照的に、共産党の党勢減退が改めて印象付けられる形となりました。

高齢化する支持者との距離が広がる日本共産党の幹部たち高齢化する支持者との距離が広がる日本共産党の幹部たち

党勢減退の深刻な現実と背景要因

日本共産党は今回の参院選で、比例代表における「得票数650万票、得票率10%、5議席獲得」を目標に掲げていました。しかし、実際の結果は目標の半分にも満たない約286万票、得票率は4.84%にとどまりました。これは前々回の2022年参院選の約362万票(得票率6.82%)や、2024年の総選挙の約336万票(同6.16%)と比較しても、さらに後退する結果であり、党勢の減退に歯止めがかからない状況が続いています。

昨年、24年間委員長を務めた志位和夫氏から田村智子氏へと委員長職が引き継がれ、新体制での新たなスタートを切った共産党には、党内外から大きな期待が寄せられていました。志位氏時代に指摘された硬直的な組織体制や「独裁」との批判に対する刷新の象徴として、女性である田村氏への交代は歓迎された側面もありました。しかし、この指導部の刷新をもってしても党勢の回復には至らなかった背景には、根深い構造的問題が存在します。

主要な要因として挙げられるのが、「党員の高齢化」とそれに伴う党勢の縮小です。党員数は1990年の約50万人をピークに減少し続け、2020年には約27万人まで落ち込んでいます。また、党の財政基盤を支える機関紙「赤旗」の購読者数も、1980年の355万人から2020年には約100万人へと大幅に減少しており、党員数の減少と高齢化が直接的に財政と組織の活力を蝕んでいる状況がうかがえます。

結論

今回の参院選は、与党の歴史的惨敗という結果が注目される一方で、日本のリベラル勢、特に日本共産党が直面する厳しい現実を浮き彫りにしました。指導部の若返りや多様性への対応を試みてもなお、党員の高齢化や機関紙購読者の減少といった構造的な問題が党勢回復の大きな足かせとなっていることが明らかです。国民のニーズや社会の変化に対応し、幅広い層からの支持を獲得するための抜本的な改革と、その基盤となる党組織の再活性化が、今後の日本のリベラル勢にとって喫緊の課題となるでしょう。


参考文献:
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