伊東市田久保市長、辞職撤回を表明~経歴詐称問題で市民との約束反故

静岡県伊東市の田久保眞紀市長(55)が、過去の経歴詐称問題に関連し、市民に向けて公約した辞職や出直し市長選の実施を取りやめることを発表しました。東洋大学を除籍されたにもかかわらず「卒業した」と偽って市長選に当選した田久保市長は、偽造とみられる卒業証書を検察に提出するとの約束もすでに反故にしており、これで今回の事態の責任を取るとした三つの主要な約束をすべて撤回した形となります。

記者会見で「辞職せず任期満了まで」と宣言

田久保市長は、自身の進退を明確にする場として、7月31日夜に伊東港近くの施設で記者会見を開きました。市役所閉庁後の午後8時という異例の時間に行われた会見の冒頭、市長は「私の経歴の一部につきまして大きな混乱を招いてしまったことにつきまして、この場をお借りして深く心からお詫びを申し上げたい」と述べ、7月に入ってから幾度となく見せてきた深々と頭を下げるお辞儀を繰り返しました。

席に着いた田久保市長は、その後10分以上にわたり自身の考えを語り続けました。「私としましては、今後、市民との大きなお約束、わたくしの公約でもあります新図書館建設計画の中止、そして伊豆高原メガソーラー計画の白紙撤回という、私に与えられた使命を私の全身全霊を傾けて実現してまいりたい……」と、選挙で当選した自分には“使命”があるとの持論を展開。演説の最後に「本当に申し訳ございませんでした。そして、今後ともよろしくお願いいたします」と発言し、“再出発”への理解と応援を求めました。

これに対し、記者団からは即座に「進退について話すというので来たが、辞職はしないという会見なのか」との質問が飛び出し、田久保市長は「はい、そのように理解していただいて結構でございます」と即答しました。

伊東市の田久保眞紀市長が記者会見で辞職撤回を表明する様子伊東市の田久保眞紀市長が記者会見で辞職撤回を表明する様子

疑問呈す記者団と具体性に欠ける説明

行政トップが一度公言した去就の意思を覆すという事態の重大さにそぐわない軽やかな返答に、記者団からは「そんなことでいいのか」と婉曲に諭すような質問が相次ぎました。田久保市長はこれに対し、「私も一度辞職をして市民に信を問い直すということが最善の道であろうということで会見を開かせていただいたのはその通りです。ですが、目まぐるしく状況が変化し、その中にあっても市民の皆様から『このままここで終わって元に戻ってしまうのか』というお声を多くいただくようになりました」と説明しました。

さらに、「私としても現状や百条委員会の進行もそうですが、刑事告発のこと、色々なことを受け止め、本日このようなご報告をさせていただく次第になりました」と、百条委員会による調査や刑事告発といった複数の要因を挙げつつも、具体的な理由や状況の変化については明確な説明を避けました。

田久保眞紀市長の経歴詐称問題に言及する「こんなウソツキが…」と書かれた怪文書田久保眞紀市長の経歴詐称問題に言及する「こんなウソツキが…」と書かれた怪文書

まとめ

伊東市を巡る田久保眞紀市長の経歴詐称問題は、市長が市民との約束を反故にし、辞職せず任期満了まで務める意向を表明したことで新たな局面を迎えました。一度は辞意を示したものの、状況の変化や市民の声、そして百条委員会や刑事告発といった要素を理由に、その方針を撤回した市長の決定は、今後の市民感情や政治動向に大きな影響を与えるものとみられます。信頼回復に向けた具体的な行動が求められる中、この問題の推移は引き続き注目されるでしょう。

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