カナダのカーニー首相は9月の国連総会でパレスチナを国家として承認する意向を表明しました。この承認は、自治政府がイスラム組織ハマス不関与の選挙実施や非武装化などの改革を進めることが条件です。主要7カ国(G7)ではフランス、英国に続き3カ国目の表明となり、国際社会の動向が注目されます。
承認の条件と国際社会の動向
カナダが示した国家承認の条件は、パレスチナ自治政府によるハマス不関与の選挙実施と非武装化です。パレスチナを国家として認める国は既に145カ国を超え、G7ではフランス、英国に続きカナダが3カ国目となります。しかし、イスラエルと米国はカナダの動きに「ハマスへの褒美だ」と強く反発しています。
ガザの人道危機とカナダの立場
カーニー首相はパレスチナ自治区ガザ地区の人道危機に触れ、「市民の苦しみが深刻化し、平和と安全、人間の尊厳を支える国際的な協調行動に一刻の猶予も許されない」と強調しました。首相はまた、「イスラエルの恒久平和への道は、発展して安定したパレスチナ国家の樹立と、安全保障に対するイスラエルの不可侵の権利を認めることだ」と述べ、イスラエルとパレスチナ双方の安全保障が重要であるとの認識を示しました。カナダは先日、パレスチナ国家承認への前向きな検討を促す西側15カ国の外相による共同声明にも加わっています。
カナダのカーニー首相がパレスチナ国家承認の意向を表明する記者会見の様子
ガザ地区における深刻な人道状況を示すデータと図解
日本への影響と「二国家解決」への課題
今回のカナダの動きは、未承認のオーストラリアやニュージーランドも加わった共同声明を受け、国際的な承認ラッシュを加速させる可能性があります。この傾向が続けば、日本もパレスチナ国家承認の早期判断を迫られるでしょう。一方、パレスチナの国連への正式加盟は、米国の拒否権により安全保障理事会の承認が必要で、実現は不透明です。ニューヨークで開かれていたイスラエルとパレスチナの「二国家解決」への道筋を話し合う会議は30日に閉幕し、9月には首脳級会合が予定されています。
カナダによるパレスチナ国家承認の意向表明は、国際社会における「二国家解決」に向けた議論を一層深めます。ガザ地区の人道危機を背景に、G7各国を含む世界各国がそれぞれどのような姿勢を示すのか、そして日本が今後どのような外交判断を下すのかが注目されます。