7月の参院選での惨敗を受け、自民党は深刻な党内混乱に直面しています。石破茂首相に退陣を迫る勢力と、続投の意向を貫く首相との間で、党内は大きく揺れ動いています。このような政治的混乱の最中、AERAは「次の首相にふさわしいのは誰か」というテーマで読者アンケートを実施しました。約2000件に及ぶ国民の回答から見えてきた、混迷する政局の中で期待を集める政治家たちの姿と、彼らが支持される理由を深掘りします。本稿では、アンケート結果の上位5位から3位にランクインした政治家たちに焦点を当て、その人気の秘密を探ります。
自民党の次期リーダーの行方に注目が集まる中、今後の動向が注目される高市早苗氏
アンケート概要:国民の声から次期リーダーを読み解く
今回のアンケートは7月22日から27日にかけて実施され、「次の首相として誰がふさわしいと思うか」を選択式で、「その政治家を選んだ理由」を記述式で尋ねました。AERAのメールマガジンなどを通じて募集した結果、総計1937件もの貴重な回答が寄せられました。回答者の内訳は、男性が60.0%、女性が38.3%、その他/回答しないが1.7%でした。この結果は、現在の日本の政治情勢に対する国民の関心の高さと、次期リーダーに対する期待が反映されたものと言えるでしょう。
5位:国民民主党・玉木雄一郎代表の「実績と財政手腕」
国民民主党の玉木雄一郎代表が、104票を獲得し5位にランクインしました。国民民主党は、昨年の衆院選で大幅に議席を伸ばし、今年7月の参院選でも改選4議席から17議席へと4倍以上の躍進を遂げました。石破政権が少数与党として国会運営に苦しむ中、国民民主党はキャスティングボードを握り、特に所得税の非課税枠である「年収103万円の壁」の引き上げを強く求め、その存在感を示しています。
アンケートでは、玉木代表の具体的な政策実行能力と、国民目線での働きかけが高く評価されています。60代女性からは「今年度は103万円から160万円に引き上げされたことで、働く時間確保と所得税減税を実現したので今後もさらに期待したい」と、生活に直結する政策への貢献が評価されました。また、60代男性からは「真に国民のためを考えた政策の実行能力が一番高いと感じたから」と、その実行力が支持を集める理由として挙げられています。
さらに、元財務官僚という経歴を持つ玉木代表に対しては、財政再建や財務省改革への期待も寄せられています。70代以上の男性からは「財政に精通し、財務省職員を服従させる能力がある」という声も複数あり、“打倒財務省”という国民の根強い思いが垣間見えます。
4位:れいわ新選組・山本太郎代表の「カリスマ性と国民への寄り添い」
れいわ新選組の山本太郎代表は、128票を獲得し4位となりました。れいわ新選組は、昨年の衆院選、今年7月の参院選ともに議席を増やしていますが、現状では衆院9議席、参院6議席と野党の中では少数勢力にとどまっています。しかし、それでも山本代表の独自のカリスマ性に惹かれる人は多く、特に若年層からの支持が目立ちます。
40代男性からは「知見、空気を読まない勇気、一貫性、人への気遣いができること、プレゼン力、全て一流」と、その多才な能力と信念が評価されました。また、20代男性は「勢いがある方に任せてみたい。現実味が薄いが国民の代弁者としてのスピーカーとしては優秀」と述べ、その発信力と国民の声を代弁する姿勢に期待を寄せています。
さらに、山本代表の社会的弱者や被災者に寄り添う姿勢は、多くの国民の共感を呼んでいます。70代以上の男性からは「能登の復興にただ一人頑張った政治家」との声が、50代女性からは「年末もYouTubeで低所得者向けに行政の相談窓口を紹介していました。いい人すぎます」といった声が寄せられ、その人間性や行動力が支持の背景にあることが伺えます。
3位:自民党・小泉進次郎農林水産相の「若さと行動力」
自民党の小泉進次郎農林水産相が、147票を集め3位にランクインしました。爽やかなルックスと明快な物言いで、特に女性ファンが多い小泉氏は、各種メディアの「首相になってほしい」ランキングでも常に上位に名を連ねる存在です。44歳という比較的若い年齢に対しても、多くの期待が寄せられています。
70代以上の女性からは「若さ見た目も大事」という声が、同じく70代以上の男性からは「いいかげん、若い人にやらせるべき!議員定年制も必要!」といった声が聞かれ、世代交代への強い期待が示されました。これは、長期化する日本の政治課題を解決するために、新しい発想やリーダーシップを求める国民の意識の表れと言えるでしょう。
小泉氏の直近の動向としては、深刻なコメ価格高騰への対応が挙げられます。“コメ担当大臣”として、備蓄米の大規模放出を指示するなど、迅速な行動で注目を集めました。これに対し、70代以上の男性からは「米問題を積極的に解決しようという態度を評価します」と、その行動力やスピーディーな対応が高く評価されています。
結論:混迷する政局における国民の期待
今回の国民アンケートは、自民党が党内抗争に揺れ、政治の混迷が深まる中で、国民が次期リーダーに何を求めているのかを浮き彫りにしました。玉木雄一郎氏には政策実行力と財政手腕、山本太郎氏にはカリスマ性と弱者への寄り添い、そして小泉進次郎氏には若さと問題解決への行動力が期待されています。これらの結果は、国民が単なる人気や知名度だけでなく、具体的な政策提言、実行力、そして共感できる人間性を次期首相の重要な資質と捉えていることを示唆しています。今後、日本の政治がどのような変革を遂げるのか、国民の選択がその行方を大きく左右するでしょう。
参考資料
- AERA. (2025年8月3日). 次の首相にふさわしいのは誰? AERA読者2000人アンケートで判明!. Yahoo!ニュース. https://news.yahoo.co.jp/articles/68f73f3d51b1ce12e023caa8dd8b968de6a715b4