辺野古移設抗議の「牛歩」事故、警備員死亡で女性の立件検討へ

沖縄県宜野湾市の米軍普天間飛行場名護市辺野古移設を巡る「牛歩」抗議活動中に発生した死亡事故で、沖縄県警が70代の女性の立件を視野に捜査を進めていることが捜査関係者への取材で判明しました。昨年6月に警備員がダンプカーに巻き込まれて死亡したこの事故について、県警は重過失致死や過失致死容疑での捜査を慎重に進めています。

沖縄県名護市で「牛歩」抗議活動が続く米軍普天間飛行場移設反対運動の様子沖縄県名護市で「牛歩」抗議活動が続く米軍普天間飛行場移設反対運動の様子

事故の概要と捜査状況

この痛ましい事故は昨年6月28日、名護市安和の土砂搬出港桟橋前の路上で発生しました。当時47歳だった男性警備員と抗議活動中の女性が、土砂を搬出しようとしていたダンプカーに衝突、巻き込まれました。警備員は死亡し、女性も重傷を負っています。

その後の捜査で、現場付近の防犯カメラに事故の状況が鮮明に記録されていたことが明らかになりました。産経新聞が入手した映像には、警備員が女性を制止しようと、動いているダンプカーと女性の間に割って入り、そのままダンプカーの左前面に衝突する様子が映っていました。

沖縄県警は「誰がどのような刑事責任を負うのかも含め、あらゆる観点から事故原因などの究明に努めている」と幹部が述べており、抗議活動をしていた女性だけでなく、ダンプカーの運転手や発車の合図を送ったとされる交通誘導担当の警備員についても広範な捜査を進めています。

刑事責任の焦点と過去の事例

今回の捜査では、重過失致死罪の成立に重要な要素である「危険性を具体的に予見できたか(予見可能性)」、そして「必要な措置を講じれば結果は避けられたか(結果回避可能性)」が主な焦点となる見込みです。

類似の過去事例としては、平成30年にスマートフォンを操作しながら電動アシスト自転車に乗り、前方不注意で歩行者に衝突し死亡させた川崎市の元大学生の女性が、重過失致死罪で在宅起訴されたケースがあります。

今後の展開

沖縄県警は、抗議活動中の女性が徐行中のダンプカーの前に出る行為が、警備員を巻き添えにする危険性を十分に予測できたかなど、詳細な裏付け捜査を慎重に進める方針です。この事故の責任の所在を巡る捜査の行方が注目されています。


参考文献: