プーチンが与えた安定、崩れつつある「均衡」…勝てない戦争に莫大な資源を浪費してきたロシアの未来


 四半世紀にわたり権力の座に就いたプーチンは、ロシアを一つの均衡点へと導いた。欧州は第二次世界大戦後最悪の戦争を目の当たりにしているが、プーチンはロシア国民が最も待ち望んでいた贈り物、すなわち安定を与えた。

 同時にプーチンは、長年ロシア国民に対して栄光に満ちた国を約束し、ロシアを国際舞台における主要なアクターとして復活させることを自身の歴史的課題としてきた。

 ところが、対外的な介入の行き過ぎはプーチンをジレンマに陥れている。ロシアの外交政策はますます失敗に彩られ、ウクライナ戦争は膠着状態に陥っている。追い詰められれば、プーチンは大衆動員と厳しい強制措置によってロシアの均衡を犠牲にする可能性が高い。

 プーチンは国家の独裁的潜在力を最大限には活用していない。プーチンは国内における大量流血を避け、その代わりに見せしめとしての暴力の実践に習熟した。若者たちがますます洗脳にさらされていく一方で、政治に関心のない大人は、政府からの妨害をほとんど受けることがなかった。

 しかしながら、プーチンが築き上げてきた均衡は、見た目以上に脆弱である。ウクライナ戦争は実際勝利とは程遠く、2026年2月までにはソ連がナチス・ドイツと戦った期間と同じくらい長く続くことになる。

 総じて、ロシアは勝てない戦争に莫大な資源を浪費してきた。ウクライナの主要都市と領土の大部分はクレムリンの掌握下になく、ロシアが占領に成功した領土は、繁栄する植民地というより、貧困と戦争で傷ついた場所となっている。またロシア奥地の空軍基地に対する異例の攻撃など、ウクライナの技術革新の才能はクレムリンにとって新たな問題を引き起こしている。



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