参院選大敗の責任を問われながらも、続投に意欲を示す石破茂首相(68)に対し、自民党内からの厳しい批判と退陣圧力が強まっています。その一方で、かつて「裏金問題」で憂き目を見た議員らが自身の責任を顧みず、こぞって「石破おろし」に奔走する姿は、党内の混迷を一層深めています。まるで自民党の断末魔が聞こえるかのような、激しい権力闘争の現状を掘り下げます。
石破首相を巡る退陣包囲網の進展
石破首相が続投への意欲を明確にする中、党内では水面下で退陣を求める動き、いわゆる「石破おろし」の包囲網が着実に狭まっています。政治部デスクが指摘するように、この動きに積極的に加担しているのは、旧安倍派、麻生派、そして旧茂木派といった、自民党内の主要な勢力です。彼らの思惑が交錯し、現在の複雑な政治状況が生まれています。
参院選大敗後も続投に意欲を示す石破茂首相の姿
「石破おろし」の中心人物と具体的な動き
「石破おろし」の動きは、党内有力者の会談から具体化しました。
麻生太郎氏と茂木敏充氏の協調
最初に動いたのは、自民党の重鎮である麻生太郎最高顧問(84)と、党の要職を歴任した茂木敏充前幹事長(69)でした。7月21日、両者は都内で会談し、「首相続投は困難である」との認識で一致しました。この会談に呼応するように、同日、河野太郎選対委員長代理(62)は辞表を提出し、森山幹事長にも辞任を求めて、石破体制への圧力を強めました。
旧安倍派「5人衆」の動向
退陣報道が過熱する7月23日には、旧安倍派の主要メンバーが動き出します。世耕弘成前参院幹事長(62)の呼びかけで、東京・赤坂の中華料理店に萩生田光一元政調会長(61)、松野博一前官房長官(62)、西村康稔元経済産業相(62)ら、かつて「5人衆」と呼ばれた中心人物のうち4人が集まりました。彼らはこの場で、今後の政局に関する意見交換を行い、石破政権に対する厳しい姿勢を共有したと見られています。
党青年局の「即時退陣論」と茂木氏のYouTube発信
党内の若手からも退陣を求める声が上がりました。同日、党青年局が各県連の若手議員と緊急会合を開催し、中曽根康隆青年局長(43)は記者団に対し「石破首相の即時退陣論が多数を占めた」と明かしました。さらに7月26日には、茂木前幹事長が自身のYouTubeチャンネルで、「スリーアウトチェンジみたいな状態だ」と発信。これは、石破首相の責任を明確に問い、退陣を求める旗色を鮮明にしたものと受け止められています。
両院議員総会開催に向けた署名活動と萩生田氏の暗躍
「石破おろし」の動きは、具体的な行動へと発展しました。党内では、石破首相らの責任を問うための両院議員総会の開催に向け、党所属国会議員の3分の1以上の署名集めが秘密裏に行われました。この署名活動の代表は表向き、旧茂木派の笹川博義衆議院議員(58)が務めていますが、実際には萩生田光一元政調会長が中心となって精力的に動いていると指摘されています。裏金問題で苦境に立たされた旧安倍派が、その「意趣返し」とばかりに石破おろしを主導している構図が浮かび上がっています。両院議員総会の開催に必要な署名はすでに集まり終えていたと報じられています。
結論
参院選大敗を機に、石破茂首相の進退を巡る自民党内の権力闘争は、かつてないほど激しさを増しています。「石破おろし」に動く主要派閥の思惑が絡み合い、党内の亀裂は深まるばかりです。一連の動きは、自民党が新たな転換期を迎えていることを示唆しており、今後の政治情勢から目が離せません。