麻生氏「衆院選勝利できる後継を」石破首相との因縁、政権交代の行方

自民党の麻生太郎最高顧問が8月1日に開催された麻生派の会合で、政権維持に意欲を示す石破茂首相(自民党総裁)の後継候補について「衆院選で勝利できる」ことを最重要条件に挙げ、政界に波紋を広げています。この発言は単なる後継指名に留まらず、麻生氏と石破首相の間に長く横たわる因縁と、現在の自民党が直面する危機的状況を浮き彫りにしています。

麻生氏の発言に潜む「石破おろし」の意図

自民党内で唯一派閥のトップとして残る麻生氏は、会合で「次に目指すべきは衆院選で勝利し、衆院で議席を回復させることだ。勝利できる体制を整えることを我々は行っていかねばならない」と強調しました。政治部デスクは、この発言が表面的には当然のことながらも、「石破さんお辞めになってください」という、石破首相への遠回しな退陣要求であると指摘します。麻生氏が首相在任中に石破氏から退陣を迫られた過去があり、その遺恨を今なお深く抱いているため、「水に流すことはできなかった」という感情が背景にあると見られています。

石破首相の反応と国民の厳しい審判

過去に麻生氏や安倍晋三氏に対し公然と退陣を迫った経緯がある石破首相ですが、本人はそうした報道や旧来の因縁をさほど気にしていない様子だと伝えられています。自民党が政権を失った2009年以前と現在では、政治状況が大きく変化しているという認識があるのかもしれません。直近の衆院選、都議選、参院選と続いた国民の審判は、確かに石破政権への「ノー」を突きつけたものではありますが、それ以上に自公政権全体、ひいては自民党そのものへの否定的な意味合いが強かったとの分析もあります。政権与党が選挙で敗北し、政権を失ったり、小政党が生まれ、勢力を拡大したりといった事象は、もはや日本に限らず世界の趨勢であるとも言えるでしょう。

石破茂首相と麻生太郎最高顧問が公の場で並び立つ様子。両者の間に政治的な緊張感が漂う場面。石破茂首相と麻生太郎最高顧問が公の場で並び立つ様子。両者の間に政治的な緊張感が漂う場面。

旧態依然の「党内政局」では打破できない現状

自民党はこれまで、党内抗争を繰り返しながら主流派と非主流派がめまぐるしく入れ替わる「疑似政権交代」を通じて、政権を維持してきました。今回も、そうした慣例に倣い、「石破氏は国民に全面否定された、辞任を渋っているようだが、党内政局を経て石破氏を降ろし、新総裁を決めて『解党的出直し』を図るべきだ!」といった動きが当然のように起こっています。しかし、こうした動きが国民に「何か変わった」という印象を与えることは難しく、次の選挙でも自民党の敗北は避けられないとの見方が強まっています。党内政治の常識が、国民の意識や世界の潮流から乖離しつつある現状が、浮き彫りになっています。

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