高市早苗首相の「台湾有事」発言に波紋—高井議員が“質問レク拒否”を問題視

11月27日、衆議院総務委員会で、れいわ新撰組の高井崇志幹事長(56)が高市早苗首相(64)に対し、その発言と執務姿勢を巡り痛烈な批判を展開しました。特に注目されたのは、高市首相が以前行った「台湾有事」に関する「存立危機事態」発言とその背景にあるとされる「質問レク」拒否の問題です。この質疑は、日中関係の緊張が高まる中で、政府の対応と首相のリーダーシップに一石を投じるものとなりました。

衆議院総務委員会での質疑応対

高井幹事長は、総務省出身で総務委員会に長く在籍する経験を生かし、所管外であるにもかかわらず林芳正総務相(64)に高市首相の発言について切り込みました。高井氏は、11月7日に高市首相が「台湾有事」を具体的な例を挙げて「存立危機事態になりうる」と発言した際の映像を提示。その際、高市氏の後ろに座っていた林総務相が「深刻な顔をしていた」と指摘し、「『これ、マズい』と思いませんでした?」と問いかけました。

林総務相は、緊張感を持って聞いていたことは認めつつも、「記憶が定かではない」として明確な回答を避けました。高井氏は林総務相の「安定した答弁」を皮肉りながらも、日中関係の冷え込みは「国をあげて政権をあげて、政府をあげてやるべき」と、中国との関係改善の必要性を強く訴えました。

高市早苗首相が委員会で発言する様子高市早苗首相が委員会で発言する様子

高市首相の「質問レク拒否」が招く問題

高井幹事長は、高市首相の「台湾有事」発言は「総理として、委員会で言うべきではなかった」と断言しました。その背景には、高市首相の「人の意見を聞かない」という姿勢があると指摘。高井氏は、高市氏が総務大臣時代に総務委員会の筆頭理事を務めていた経験から、高市氏をよく知る立場として、彼女が「質問レク(事前説明)をやらない」ことを具体的な問題点として挙げました。

高井氏によると、高市首相は総務大臣時代も質問書に自らペンを入れ答弁を作成していたといいます。自身の言葉で答えることは一見良いことのように思えますが、総理大臣という立場になってもこのスタイルを貫くことは問題だと高井氏は警鐘を鳴らしました。今回の「存立危機事態」発言も、もし事前に官僚による質問レクが行われていれば、「全力をあげてみんな止める」ことができ、首相も問題を理解して失言を避けることができたはずだと指摘。質問レクを行わない姿勢は「非常に問題」であると強調しました。

国会日程と質問通告の課題

さらに高井幹事長は、野党からよく指摘される「質問通告が遅い」という問題についても言及しました。その根本的な原因は、国会の日程決定が前日になるなど遅すぎることにあると指摘。与党の責任として、前々日までに国会の日程を決めることをルール化すれば、野党も前日の昼までに質問通告を完了させることが可能になると具体的な解決策を提案しました。

今回の質疑は、高市首相の個人の資質と執務スタイルが、外交問題や国会運営に与える影響を浮き彫りにしました。透明性と協調性のある政治プロセスが、国益と国民への信頼に繋がることを示唆しています。