九州の最大都市、福岡市内の賃貸マンションで、住民に突然の家賃大幅値上げが通告され、困惑と不安が広がっています。築35年ほどのこのマンションでは、家賃が約1.5倍、駐車場代に至っては2倍以上となるケースも報告されています。一方で、共用廊下の蛍光灯が何カ所も消えたままであるなど、管理状態への不満も浮上。「まるで“追い出し”だ」と訴える住民たちの声と、値上げの背景にある管理会社・オーナー側の思惑に迫ります。この突然の値上げの目的は一体何なのでしょうか。
福岡市内の家賃値上げが問題となっている築35年の賃貸マンションの外観
突然の家賃約1.5倍値上げ!住民に広がる困惑
福岡市内にある築35年ほどの賃貸マンションで、住民たちが直面しているのは、突然の家賃大幅値上げです。JR駅に近く、福岡空港や博多駅へも約30分でアクセスできる便利な立地にあるこのマンションは、エレベーターがないものの、これまで比較的安定した家賃で提供されてきました。
3LDKの物件に住むAさんのもとには、2025年4月に「管理会社が変更になった」という知らせが届きました。この時点では特に違和感はなかったというAさんですが、その後、2025年10月から月額6万8000円だった家賃が9万8000円へと、約1.5倍に値上げされる通知書を受け取ったのです。Aさんは「値上げ額が9800円の間違いではないか」と驚きを隠せませんでした。さらに、駐車場代も6600円から1万5000円へと倍以上になることが通告され、Aさんは「これは異常だ」と強い不満を表明しています。
この家賃値上げ通知はAさんだけでなく、他の住民のもとにも直接郵便受けに投函されていました。元々月額7万円だった家賃が10万1000円になると通知されたBさんは「僕より嫁の方が怒っています」と困惑の声を上げます。また、年金生活に入り収入が減少する中で家賃が上がることに「ちょっときつい」とCさんも不安を募らせています。多くの住民が「支払えなかったら出ていけということ。まるで“追い出し”ですよね」と共通の認識を抱いている状況です。
住民に送付された家賃と駐車場代の大幅値上げを通知する書面
新管理会社が示す値上げ理由とその信憑性
新しい管理会社側は、今回の家賃大幅値上げについて、公共料金の値上げなどによる管理コストの上昇を理由に挙げています。加えて、「近隣物件の相場に沿った形での価格見直し」であると説明しています。つまり、周辺の類似物件の家賃相場に合わせて、適正な価格に改定したという主張です。
しかし、この説明に対し、住民からは疑問の声が上がっています。Bさんは「近隣の物件を調べると、今現在の家賃(値上げ前の家賃)が妥当な金額なんです」と反論します。FNNプライムオンラインの取材班が近隣の複数の不動産会社に聞き取り調査を行ったところ、いずれの不動産会社も「値上げ通知前の家賃のほうが妥当だ」と回答しました。このことは、管理会社が主張する「近隣相場に合わせた価格見直し」の信憑性に疑念を抱かせるものです。
住民が抱く疑問とオーナー側の過去の言動
管理会社からの説明と、住民や近隣の不動産会社の認識との間には大きな隔たりがあります。住民たちは、ただ単に管理コストの上昇や相場調整という理由だけではない、別の目的があるのではないかと疑心暗鬼を募らせています。
その背景には、オーナー側の過去の言動も影響しています。当該マンションの住民Bさんは、以前にオーナー側がこの物件を「(民泊ではなく)はじめに『寮にする』と言っていた」と証言しています。このような過去の言動が、今回の家賃大幅値上げが住民を「追い出す」ための手段であり、その後の物件用途変更を意図しているのではないかという不安や憶測に拍車をかけている状況です。
まとめ
福岡市内の築35年の賃貸マンションで発生している家賃の約1.5倍という突然の大幅値上げは、多くの住民に深い不安と困惑をもたらしています。管理会社は管理コスト上昇と近隣相場との整合性を理由としていますが、近隣不動産会社の見解とは乖離があり、その信憑性には疑問が残ります。住民たちは、値上げの背景に「追い出し」や物件の用途変更といったオーナー側の思惑があるのではないかと感じており、共用部分の管理状態の悪化もその疑念を強めています。賃貸契約における突然の大幅な条件変更は、住民の生活に直接的な影響を与えるため、管理会社やオーナー側には、より透明性のある説明と誠実な対応が求められます。
参考文献
- FNNプライムオンライン (2024年8月5日) 突然の家賃約1.5倍に“追い出し”不安「払えなかったら出ていけと」背景にオーナーの「寮にする」発言…福岡の賃貸マンションで一体何が?. https://news.yahoo.co.jp/articles/915811a0225454ca704d65db647548e397360dd9