米国で合成麻薬「フェンタニル」の乱用が深刻な社会問題となっています。日経新聞が報じた「中国組織の日本拠点疑惑」は衝撃を与えましたが、なぜこれほどまでにアメリカ国内で蔓延してしまったのでしょうか。その根深い背景を解説します。
アメリカで深刻化するフェンタニル問題を示すイメージ写真
ベトナム戦争が薬物蔓延の契機に
アメリカで麻薬が蔓延する契機の一つはベトナム戦争でした。極度の緊張下で多くの若者兵士が麻薬に手を出し、帰国後も薬物依存が続いて中南米に麻薬製造工場ができました。
オピオイド規制とフェンタニルへの移行
その後、麻薬取締が厳しくなる一方で、医療用鎮痛剤オピオイドの乱用が問題化。オピオイドへの規制が厳しくなった結果、その代替として合成麻薬フェンタニルが蔓延することになりました。
現代社会の産業空洞化が加速要因に
さらに、アメリカの産業空洞化は、働きたくても働く場所のない男性たちが憂さ晴らしにフェンタニルに手を出すという社会的な風潮を助長し、薬物問題の深刻化に拍車をかけています。
結論
アメリカのフェンタニル危機は、ベトナム戦争に端を発する歴史的経緯、医療用鎮痛剤の乱用と規制、そして現代の産業空洞化といった多岐にわたる要因が複雑に絡み合った根深い社会問題と言えます。
