連続テレビ小説「あんぱん」第94話:北村匠海演じる柳井嵩の決断と原菜乃華演じる辛島メイコの激動

NHK連続テレビ小説「あんぱん」は、国民的アニメ「アンパンマン」の生みの親である漫画家やなせたかし氏と妻・暢さんをモデルに、激動の時代を生き抜いた夫婦の姿を描く物語です。ヒロイン今田美桜演じる柳井のぶと、北村匠海演じる柳井嵩を中心に展開される本作は、視聴者から常に熱い注目を集めています。8月7日に放送された第94話では、柳井嵩の人生を左右する大きな決断と、辛島メイコに訪れる新たな展開が描かれ、SNS上でも大きな反響を呼びました。

連続テレビ小説「あんぱん」第94話で第2子を妊娠中の辛島メイコ(原菜乃華)の様子。連続テレビ小説「あんぱん」第94話で第2子を妊娠中の辛島メイコ(原菜乃華)の様子。

柳井嵩(北村匠海)の決意:漫画家への道

第94話の冒頭では、柳井嵩が、思い切り漫画を描きたいという長年の夢を柳井のぶに打ち明けるシーンが描かれました。嵩は三星百貨店での仕事を辞め、漫画家として生きていく決意をのぶに伝えます。この重大な決断に対し、のぶは一切ためらうことなく、嵩の夢を全力で応援すると誓いました。希望に燃える二人の姿が印象的でしたが、物語はそこから一気に5年後へと飛びます。5年が経過しても、嵩は相変わらず三星百貨店に勤務していました。しかしある日、彼は偶然にも旧友であるいせたくや(大森元貴)と再会し、その後の展開に大きな影響を与えることになります。

いせたくや(大森元貴)との再会:勇気を与え合う交流

銀座のカフェで再会した嵩とたくやは、互いにスーツ姿。嵩は職を失ったたくやにカレーライスを奢り、二人の会話が始まります。タクシー運転手をクビになったというたくやは、今後は音楽で生きていくと熱く語ります。声が出なくなった時期にメロディーが溢れ出し、「歌いたい、音楽でたくさんの人を幸せにしたい」という強い思いが芽生えたと明かしました。周囲からは無理だと馬鹿にされることもあるというたくやですが、そのひたむきな姿は嵩に大きな勇気を与えます。

嵩は「君のおかげで勇気づけられた」と、たくやの才能に圧倒され嫉妬したことを素直に告白します。そして、「こんな人が出てきたら、僕なんか到底勝てない。でも、自分にしかできないことも、何かあるんじゃないかなって」と、自分の弱さを認めつつも、新たな可能性を模索する心境を吐露しました。それに対し、たくやは「嫉妬したって言えるなんて、あなたは強い人です。本当に強くなきゃ、そんなふうに自分の弱さは認められません」と応じ、二人の間には互いを認め合う温かい交流が生まれました。

嵩の副業収入が給与を上回る:のぶの「全力応援」が後押し

たくやとの再会と会話は、嵩の心に確かな火を灯しました。そしてついに、嵩の漫画による副業収入が本業の給与を上回る日が訪れます。この決定的な瞬間に、のぶは5年前から準備していた言葉を嵩にかけました。「全力で応援するき、全力でやってみいや。漫画で食べれんでも、私が食べさせちゃるき。うち、嵩にそう言われたら、こう言おうって、5年前から決めちょった。待っちょったで」。この力強く、愛情のこもった言葉が、嵩が漫画家としての道を歩む大きな後押しとなりました。

辛島メイコ(原菜乃華)の激動:上京から出産まで

物語のもう一つの重要な展開として、辛島メイコ(原菜乃華)と辛島健太郎(高橋文哉)夫妻が長女・愛を連れて柳井家を訪れるシーンが描かれました。第2子を妊娠していたメイコは、柳井家滞在中に産気づき、無事に次女を出産するという激動の展開を見せました。

メイコは、第92話(8月5日)での上京、第93話(8月6日)での「素人のど自慢」挑戦、そして健太郎への電撃的な告白と結婚と、わずか数話の間に目まぐるしい変化を遂げてきました。そして今回の第94話で第2子を出産し、一気に二児の母となる姿が描かれ、そのスピード感のある展開は視聴者を驚かせました。

オープニングクレジットとSNSの反響

今話では、オープニングタイトルバックのクレジット表記が「辛島メイコ 原菜乃華」に変わるという細かな変更も加えられ、視聴者の間で「OPクレジットの『辛島メイコ』表記に胸アツ」といった感動の声が上がりました。また、5年後という設定に合わせて、のぶの髪形が当時流行した「サザエさんヘア」になったことも話題となり、「一気に5年後wのぶもサザエさん風?」「のぶもとうとう朝ドラおなじみのサザエさんヘアになったか」といったコメントがSNSに寄せられました。

連続テレビ小説「あんぱん」第94話、5年後の柳井のぶ(今田美桜)の新しい髪形。連続テレビ小説「あんぱん」第94話、5年後の柳井のぶ(今田美桜)の新しい髪形。

メイコと健太郎の怒涛の展開についても、「メイコと健太郎の展開、今日も早かねぇ~w」「辛島メイコ、2児の母。泣ける」「昨日の電撃結婚から、もう2人目」など、その展開の速さに驚きと感動の声が続出しました。さらに、いせたくやを演じる大森元貴の演技についても、「今日は5年後のたくちゃん!元貴くんにリンクする部分があって…台詞なのに本人が話しているような説得力がありました。素敵な演技に毎回魅了されます」と絶賛するコメントが多く見られました。

史実との関連性:やなせたかし氏の転機

今回描かれた柳井嵩の決断は、史実に基づいた重要な転機です。モデルであるやなせたかし氏は、1947年(昭和22年)に就職した三越を、34歳になった1953年(昭和28年)に退社し、フリーの漫画家として活動を開始しました。この時、暢さん(のぶのモデル)が「収入がなければ、私が食べさせてあげる」と背中を押したとされており、ドラマの展開はまさにその史実を忠実に再現している形となります。

第94話は、柳井嵩が漫画家としての第一歩を踏み出す決意を固め、辛島メイコが家族を築くという、登場人物たちの人生の大きな節目が描かれた回となりました。史実に基づいた重要な展開と、登場人物たちの感情豊かな描写が相まって、視聴者の心に深く響く内容となっています。今後の物語がどのように展開していくのか、ますます期待が高まります。

参考文献