韓国俳優カン・ジソプが、カルト宗教として知られる「JMS(基督教福音宣教会)」との関わりや、自身の壮絶な詐欺被害についてバラエティ番組で赤裸々に語り、韓国社会に大きな波紋を広げている。8月4日放送の韓国MBN「オ・ウニョン・ステイ」に「朱紅の烙印」という仮名で出演した彼は、「正しい道だと思ったが、無知ゆえ誤った選択をし、烙印を押された」と、当時の心境を率直に明かした。
カルト宗教「JMS」との関わりと実態
番組への出演を決めるまでには葛藤があったものの、「この問題には一度向き合うべきだと思った」と、カン・ジソプは深い決意を語った。彼がJMSに関わることになった背景には、芸能界で感じていた精神的な辛さがあったという。「心の安らぎを求め、異性や酒に逃げたくなかった」と、当時の苦悩を説明。団体での実態については、「女性は肉体的に、男性は金銭的に搾取され、まるでガスライティングのようだった」と、その巧妙で悪質な手口を告発した。
MBN番組に出演中の俳優カン・ジソプ。カルト宗教JMSとの関わりを告白。
壮絶な詐欺被害と精神的苦痛
JMSによる搾取だけでなく、カン・ジソプは自身の詐欺被害についても詳細を語った。彼は「ドラマで稼いだ金をすべて詐欺で失った」と述懐。大学時代に親切にしてくれた人物が実は詐欺師であったという衝撃の事実を明かし、その経験から「自分はこの世にいてはいけないのでは」と極端な精神状態に陥った過去を打ち明けた。彼の告白は、単なる金銭的被害に留まらない、心の深い傷を示唆している。
JMSとの関係が明るみに出た背景
2005年にデビューし、数々のドラマで地位を築いてきたカン・ジソプだが、2023年にNetflixドキュメンタリー「私は神だ」でJMS総裁チョン・ミョンソクが取り上げられたことで、彼への注目も急速に高まった。特に、2022年には自宅に飾られていたイエス像がテレビ放送で映り込んだことなどから信者疑惑が浮上。さらに、2012年のSNS投稿もこの疑念を深める要因となった。今回の彼の告白は、長らく囁かれていた疑惑に終止符を打つものとなった。
結論
俳優カン・ジソプの今回の告白は、個人の苦悩に留まらず、韓国社会におけるカルト宗教問題の深刻さを改めて浮き彫りにした。彼の勇気ある行動は、同様の被害に苦しむ人々への警鐘となると同時に、社会全体がカルト宗教や詐欺問題に対し、より一層の関心と理解を深めるきっかけとなるだろう。彼の経験から、私たちは「正しい道」と信じたものが、時に個人の人生を大きく狂わせる危険性を改めて認識する必要がある。
参考文献
- KOREA WAVE/AFPBB News (https://news.yahoo.co.jp/articles/7c7d8b91a4d26883b1122cc042f60d8867d50de6)
- MBN「オ・ウニョン・ステイ」
- Netflixドキュメンタリー「私は神だ:裏切られた信仰」