トランプ米政権は7日未明(日本時間同日午後)、「相互関税」と称する新たな関税措置を発動しました。ホワイトハウス高官は6日、日本に対し15%の追加関税を課すことを明らかにしました。この税率は、日本政府が米国との7月下旬の合意で認識していた内容と異なり、従来の税率に「上乗せされる」形式であるため、対米輸出を行う日本企業への影響が懸念されています。
日米間の関税認識の齟齬と影響
日本政府は、これまでの説明で、相互関税合意に基づき、既存税率が15%未満の品目は一律15%に引き上げられ、15%以上の物品は現行税率が維持されると理解していました。しかし、米政府高官の説明は、日本側と15%の相互関税で合意した上で、これを「既存の関税率に上乗せされる」ものと位置付けており、日米間の認識に明確な齟齬が生じています。この認識のずれは、トランプ米大統領が7月31日に署名した大統領令や関連文書でも指摘されており、欧州連合(EU)には税率15%と明記される一方で、日本に対しては「15%追加」と表記されていました。これにより、多くの日本製品が従来よりも高い関税に直面し、輸出競争力の低下や収益への打撃が避けられない可能性があります。
日本政府の対応と米側との協議
こうした状況の中、訪米中の赤沢亮正経済再生担当相は6日、首都ワシントンでラトニック米商務長官と約90分間会談しました。日本政府の発表によると、赤沢経済再生担当相は、自動車関税の早期引き下げに向けた米側の対応を強く求めたとのことです。また、相互関税に関する合意内容についても改めて確認し、速やかな実施を促したとされていますが、日米間の認識の隔たりが残る中で、今後の交渉の行方が注目されます。
インドへの追加関税と国際的波紋
一方、トランプ大統領は6日、インドにも25%の追加関税を課す大統領令に署名しました。この措置は、インドがロシアからの原油購入を継続していることに対する制裁と位置付けられており、8月下旬に発動される予定です。既存の関税と合わせると、合計で50%もの高率な関税が課されることになり、インド政府はこれに対し強く反発しています。さらに、ブラジルなど同様に高率の関税を課された新興国においても、米国への反発が強まっており、米国の保護主義的な貿易政策が国際社会に広範な波紋を広げています。
米国による「相互関税」の発動は、日本企業にとって重大な輸出環境の変化をもたらし、日米間の貿易関係において新たな課題を提起しています。認識の齟齬が解消されない限り、不確実性が続き、経済への影響は避けられないでしょう。
参考資料
- ホワイトハウス高官発表
- 日本政府関係者の説明
- 米大統領令および官報関連文書
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