ダライ・ラマ後継者、中国政府が「最終決定権」主張:チベット仏教介入の動き強化

上海発—中国チベット自治区のガーマー・ズォードン主席は5日、自治区が9月に成立から60年を迎えるのに合わせた記者会見で、チベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世の後継者選定について、「中国政府が争う余地のない最終決定権を持つ」と強く主張しました。この発言は、長年続くチベット仏教の精神的指導者の後継者問題における中国共産党の介入姿勢を改めて示したもので、ダライ・ラマ14世が表明している伝統的な転生制度の継続と、中国からの干渉を拒否する立場への明確な牽制と見られています。

チベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世の肖像。後継者問題の中心人物として中国政府の介入に直面しています。チベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世の肖像。後継者問題の中心人物として中国政府の介入に直面しています。

ダライ・ラマ14世は今年7月、自身の死去後に生まれ変わりとされる人物を探す伝統的な「転生制度」を今後も継続する意向を表明していました。さらに、後継者の認定権限は自身が設立した非営利組織の財団のみが有し、「他のいかなる人も干渉する権限はない」と明言し、中国政府による介入を明確に拒否する姿勢を示していました。

これに対し、ガーマー・ズォードン主席は、ダライ・ラマの後継となる転生者は「中国国内で探し、中国政府が承認し、中国の法律に従って手続きしなければならない」と強調。チベット仏教の最高指導者の選定プロセスを、国家主権の範疇に組み込み、厳格に管理する中国政府の意図を改めて明確にしました。

この中国政府の主張とダライ・ラマ14世の立場との間の深い溝は、チベット仏教の将来と、中国における宗教的自由のあり方を巡る国際社会の議論に、今後も大きな影響を与え続けるでしょう。

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