大阪都構想の主要論点をめぐる議論が10日の法定協議会で終結した。平成29年6月に設置された法定協は主導する大阪維新の会と、それ以外の会派の政治対立により停滞が続いていたが、局面打開を狙った維新が4月の大阪府知事・大阪市長のダブル選や府議・市議選で圧勝し、形勢を逆転。これを受け公明党が都構想賛同に転じたことで、選挙後の法定協では7割の委員が推進派となった。10月からの論点整理もとんとん拍子で進み、約2カ月で決着した。
「1年前は、もうむちゃくちゃ。統一選以降、やっと協定書を作るためのまともな議論を積み重ねることができた」。10日の法定協終了後、維新代表の松井一郎大阪市長は1年間の歩みをこう振り返った。
法定協では3月、住民投票までの日程を示した工程表の採決が行われたが、公明などの反対多数で否決。怒号が飛び交う当時の様子を、松井氏は「学級崩壊」と揶揄(やゆ)した。
会議を一変させたのが、選挙で維新が獲得した「数の論理」だ。自民党とともに反対派の急先鋒(せんぽう)だった公明が5月、都構想への条件付き賛同を表明し、対案として示してきた総合区案を取り下げた。新たな委員構成で6月に再開された法定協は、会長含む計20人の委員のうち、維新が過半数の11人、公明が4人を占めることに。主要論点を議論する委員間協議は10月から始まったが、維新と公明の主導により計4回で終了した。
協議の焦点となったのは、公明が維新に要望した移行コストを最小限に抑える▽区役所の窓口機能の維持-といった4条件をどう盛り込むかだった。維新は最もデリケートな区割りなどの論点については、修正を求める公明に一切譲歩しなかったが、その他の部分ではほぼ公明側の要望をくんだ。区役所名称の継続や、特別区への手厚い財源配分にも応じた。維新代表代行の吉村洋文府知事は「できるかぎりの満額回答を示した」と話した。