米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は16日、米国のトランプ大統領が15日に米アラスカで行ったプーチン露大統領との首脳会談後、欧州首脳らに対して、ウクライナが東部ドンバス地方(ドネツク、ルハンスク両州)から自国軍を撤退させ露側に明け渡すことを引き換えに、ロシアがウクライナ侵略を終結させる計画を支持していると伝えたと報じた。
トランプ氏と欧州首脳らとの電話会談の内容を知る欧州高官が明らかにした。トランプ氏の話によれば、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領がドンバス地方を露側に明け渡すことに同意すれば、見返りとして、プーチン氏は、ウクライナの残り地域での現在の戦線での停戦と、ウクライナや欧州各国を再び攻撃しないという書面の約束をすると提案したという。
米政策研究機関「戦争研究所」によれば、ロシアはルハンスク州の全域を掌握しているのに対し、ドネツク州の25%程度(約6500平方キロ・メートル)は制圧に至っていない。軍事力での占領には「何年もかかる」とされている。
ゼレンスキー氏や欧州首脳らはドンバス地方を露側に明け渡すことに強く反対している。ただ、トランプ氏は18日にホワイトハウスを訪れるゼレンスキー氏と、この計画を議論する見込みだという。欧州首脳らも同席するよう招待されており、議論に参加する可能性がある。
欧州高官によると、トランプ氏は欧州首脳との電話会談でロシアへの追加制裁に言及しなかった。一方、トランプ氏は、プーチン氏が会談でウクライナが「強力な安全の保証」を得ることに同意したと述べた。ただ、北大西洋条約機構(NATO)による安全の保証ではなく、主体は欧州が中心になる見込みだという。
同紙によると、このほかプーチン氏は会談で、ロシア語をウクライナで再び公用語とすることや、ウクライナでのロシア正教会の安全を保証することも求めたという。