中国出身芸人いぜんが語る「体を張るお笑い」への疑問と日本文化の深層

中国出身の人気芸人いぜん(27)が、日本テレビの深夜番組「大悟の芸人領収書」に出演し、日本の「体を張るお笑い」に対する率直な疑問を投げかけました。北京大学附属高校を卒業後、現在は東京大学大学院で研究を続ける彼女の、高い知性と独特の視点から語られるお笑い文化論は、視聴者だけでなく多くのネットユーザーの関心を引いています。

いぜんの異色の経歴と中国の学歴社会

いぜんは、その非凡な学歴で注目を集める芸人です。中国屈指の名門である北京大学附属高校を卒業後、日本へ留学。現在は東京大学大学院に在籍しながら、お笑い芸人として活動するという異色のキャリアを歩んでいます。「大悟に抱かれたい女が並んだら万里の長城よりも長えよ」といったユニークなツッコミで人気を博しています。

彼女は番組内で、中国が極めて競争の激しい学歴社会であることを告白。「体育の授業中に走りながら数学の過去問を解く」という衝撃的なエピソードを披露しました。かつての同級生たちが現在、アメリカの研究所で働いたり、北京の将来を担うような存在であることと比較し、自身の「大悟に抱かれたい女は万里の長城よりも長え」といった芸風や、先輩芸人への媚びのために中国の国宝を例に出すといった活動に、自虐的なコメントを述べました。

日本の「体を張るお笑い」への率直な疑問

順調にお笑いの仕事が増える中で、いぜんは日本のバラエティ番組で頻繁に見られる「体を張るお笑い」について、その理解の難しさを語りました。彼女が具体例として挙げたのは、「洗濯バサミを乳首や鼻に挟む行為」や「熱々のおでんを食べる」といったネタです。

いぜんは「それは始皇帝を怒らせた罪人の罰じゃねえのか」「こんなに熱いものを食べたら、食道がんの確率を20パーセント上げちゃうとしか思えない。何が面白いですか?」と、医学的な視点や歴史的な比喩を交えながら、その行為の危険性や面白さの根源への疑問を呈しました。これに対し、番組MCの「千鳥」大悟は、「始皇帝を怒らせたらそれじゃ済まんやろ」と苦笑しながらも、芸人としての視点から解説を試みました。

中国出身の芸人いぜんがテレビ番組で日本の体を張るお笑いについて語る様子中国出身の芸人いぜんがテレビ番組で日本の体を張るお笑いについて語る様子

大悟が語る「体を張るお笑い」の伝統と意義

大悟は、いぜんの疑問に対し、長年お笑いの世界に身を置く芸人としての見解を示しました。彼は、「あれができる人とできない人が芸人の中でも分かれてくる」と述べ、体を張らないタイプの芸人が面白く映る一方で、一部の芸人にとっては「伝統芸」として残していかなければならない側面があることを説明しました。

また、大悟は「今腹抱えて笑ってるやつは1人もおらん」と話し、現代において体を張るお笑いが純粋な爆笑を生むというよりは、芸の継承や特定層へのアピール、あるいは「できない人がいるからこそ成り立つ」という側面があることを示唆しました。いぜんの疑問は、日本の独自の笑い文化の一端を浮き彫りにし、異文化理解の深さを問うものでもありました。

結論

いぜんのコメントは、異なる文化的背景を持つ視点から日本の「体を張るお笑い」の面白さや意義を再考させるきっかけとなりました。単なる身体的な痛みや危険を伴う行為としてだけでなく、その背後にあるお笑いの歴史、伝統、そして芸人たちのプロ意識といった多角的な側面が、今回の対話を通じて浮き彫りになったと言えるでしょう。彼女のような異文化からの視点は、私たちが当たり前と考えている文化や習慣をより深く理解し、その価値を再認識する上で貴重なものです。


参考文献: