夏のボーナス、手取り額がなぜこんなに?総支給額と差が大きい理由を徹底解説

夏のボーナス支給は喜ばしい一方で、明細書を見た際に「総支給額と手取り額の差があまりにも大きい」と驚いた経験はありませんか。税金が引かれることは理解していても、なぜ給与とは異なる引かれ方をするのか、税金以外に何が引かれているのかといった疑問は尽きません。この記事では、ファイナンシャルプランナーがボーナスから差し引かれる税金と社会保険料の仕組みについて、分かりやすく解説します。

夏のボーナス明細書を手に持ち、総支給額と手取り額の差に驚く様子のクローズアップ。日本円の札束が背景にぼやけて見える。夏のボーナス明細書を手に持ち、総支給額と手取り額の差に驚く様子のクローズアップ。日本円の札束が背景にぼやけて見える。

ボーナスから引かれる主な項目:所得税と社会保険料

給与やボーナス(賞与)を受け取る際には、国が定めた計算方法に基づき、企業がその都度所得税を徴収し、国に納める「源泉徴収」という制度が適用されます。この源泉徴収は、1月から12月までの1年間に支払われる全ての所得に対して行われるもので、所得税率は所得額に応じて変動するため、給与支払時に源泉徴収される所得税額はあくまで概算です。最終的な所得税額は、年末に全ての所得額が確定した段階で年末調整や確定申告によって精算されます。

所得税の計算と住民税との違い

所得税は、その年の所得に対して課される国税であり、ボーナスからも源泉徴収の対象となります。
一方、住民税は、前年1年間の所得に対して課される地方税です。年末に全ての所得が確定した後、翌年の6月から会社員の場合は12回に分割して給与から天引きされます。このため、住民税は毎月の給与からは差し引かれますが、ボーナスからは引かれないという点が大きな違いです。この住民税がボーナスからは引かれないという点が、給与とボーナスで手取り額の印象が異なる要因の一つにもなります。

社会保険料の内訳と特徴

社会保険料は、原則として税引き前の賞与額(1000円未満切り捨て)に対して、それぞれ定められた料率で源泉徴収されます。社会保険は以下の4つの項目で構成されています。

  • 健康保険: 加入している健康保険組合などによって保険料率が異なります。病気やけがの際に医療費の自己負担が軽減されるための保険です。
  • 介護保険: 40歳以上65歳未満の人が対象となり、健康保険料に上乗せして徴収されます。保険料率は健康保険組合などにより異なります。
  • 厚生年金保険: 70歳未満の人が対象で、将来の年金給付のために支払う保険料です。企業と折半で負担し、折半後の保険料率は9.15%(令和7年度時点)です。
  • 雇用保険: 労働者の失業や育児休業などの際に給付を受けられる保険です。労働者の保険料率は事業の種類によって異なり、令和7年度における一般的な事業の保険料率は0.55%です。

これらの社会保険料は、給与から引かれる場合と同様に、ボーナスからも確実に控除されるため、手取り額に影響を与えます。

賞与から源泉徴収される所得税の具体的な計算方法

所得税や社会保険料は毎月の給与からも引かれますが、それぞれに用いられる計算方法や基準が異なるため、実際にボーナスから源泉徴収される税金や社会保険料の金額は、給与から単純に推測することが難しい場合があります。

特に、ボーナスから源泉徴収される所得税額を計算する際には、国税庁のホームページに掲載されている「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」を用います。この算出率は、社会保険料等控除後の前月の給与額と扶養家族の人数によって異なります。また、会社に「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出していない人は、「乙」欄の算出率が適用されるため、より多くの税金が引かれる可能性があります。

まとめ

夏のボーナスを受け取った際の手取り額が総支給額よりも大幅に少なく感じるのは、主に所得税と社会保険料が控除されるためです。住民税がボーナスからは引かれず、給与からは引かれるという違いや、所得税が前月の給与額と扶養家族の人数に応じて算出される仕組みを理解することで、明細書に記載された金額の理由が明確になります。ご自身のボーナス明細書を確認する際には、所得税と社会保険料の項目に注目し、これらの控除がどのように適用されているかを把握することが大切です。

参考文献