近年、日本のエンターテインメント業界、特にミュージシャンの間で「タトゥー問題」が再び注目を集めています。その渦中にいるのが、シンガーソングライターのあいみょんです。2025年8月8日に発売された女性ファッション誌『GINZA』9月号の表紙に登場した彼女の姿が、一部で困惑の声を引き起こし、SNS上で大きな話題となっています。
あいみょんのタトゥーとSNSの波紋
今回、『GINZA』の表紙を飾ったあいみょんは、眉上までカットされた前髪とツインテールという、これまでとは異なる斬新なイメージで登場しました。しかし、それ以上に世間の注目を集め、SNSを騒然とさせたのは、彼女の左腕の内側にちらりと見えたタトゥーでした。報道によれば、そのタトゥーは人が歩いているような可愛らしいデザインでしたが、日本では依然としてタトゥーに対して否定的な感情を抱く人が少なくないため、様々な拒否反応が寄せられました。
X（旧Twitter）では、あいみょんのタトゥーについて以下のような意見が噴出しています。
- 「あいみょんがタトゥーか…って思うのは古いのかもしれないけど、私はやっぱりしてほしくなかった。悲しいよ」
- 「あいみょんのタトゥーには、がっかりです。楽曲とタトゥーは関係ないと思いきや、いや、関係あるなと感じてしまう」
- 「あいみょんガッカリだわ。優里もそれのせいで最近露出が減ったし、日本ではやっぱり駄目なんだね」
これらの声は、日本の社会におけるタトゥーに対する根強い抵抗感を浮き彫りにしています。
あいみょんが左腕のタトゥーを見せた女性ファッション誌『GINZA』9月号の表紙
過去の事例：YOASOBI Ayaseと優里が受けた反応
あいみょんのケースは、日本の音楽業界でタトゥーを公表してきた他のミュージシャンが直面してきた状況と非常に似ています。例えば、YOASOBIのAyaseやシンガーソングライターの優里も、同様の世間の反応を経験してきました。
YOASOBIのAyaseは、自身のInstagramで頻繁にタトゥー姿を公開しており、タンクトップ姿で腕や首にびっしりと入ったタトゥーの写真に対し、「怖い」といった声が寄せられたこともありました。また、優里も腕いっぱいに虎や花などが描かれたタトゥーを公開した際に、「歌のイメージと違う」といった苦言を呈する反応が見られています。
これらの事例は、ミュージシャンが表現の自由としてタトゥーを選ぶ一方で、一般のファンや大衆が抱くイメージとの乖離から批判的な意見が生まれるという、日本特有の文化的背景を示唆しています。
ファン層の広がりと「タトゥーへの戸惑い」
タトゥーを持つアーティスト本人たちは、それを隠すことなく活動しているため、ライブに頻繁に通うようなコアなファンは、彼らのタトゥー姿を見慣れているはずです。しかし、人気が高まり、より幅広い層にファンが拡大するにつれて、タトゥーに驚きや戸惑いを覚える人々が増えていく傾向にあります。
特にあいみょんの場合、彼女はフォークソングへの憧れを公言しており、その音楽性が楽曲にも反映されていると指摘されています。そのため、彼女のファン層には中高年層も多く含まれていると言われています。このような背景から、タトゥーの露出が、特定のファン層における「がっかり」という感情をより大きくする要因となっているのかもしれません。アーティストの個性と、長年のファンが抱くイメージとの間に生じるギャップが、今回の物議の根底にあると言えるでしょう。
結論
あいみょんのタトゥーを巡る一連の騒動は、日本の社会がタトゥーに対して依然として複雑な感情を抱いている現状を浮き彫りにしました。アーティストが自己表現としてタトゥーを選ぶことは個人の自由ですが、その表現が幅広いファン層、特に日本社会の一般的な認識とどのように共存していくかは、今後も議論の対象となるでしょう。この出来事は、著名人のパーソナルな側面と公のイメージ、そして多様化する価値観が交錯する現代社会の課題を示唆しています。
参考文献:
