NHK連続テレビ小説『ばけばけ』は、主演の高石あかりが演じるヒロイン・松野トキの物語が、回を追うごとに隠し切れないほどの壮絶さを増し、視聴者の間で大きな話題を呼んでいます。特に、北川景子と板垣李光人が演じる雨清水親子の極貧生活は、そのリアルな描写と俳優陣の熱演により、大きな注目を集めています。
ドラマ『ばけばけ』史実を基にした壮絶な物語
『ばけばけ』は、日本の民話を文学作品へと昇華させた明治時代の小説家、小泉八雲(パトリック・ラフカディオ・ハーン)の妻である小泉セツをモデルにした物語です。高石あかりがヒロインの松野トキを、バストウが八雲をモデルとしたレフカダ・ヘブンを演じています。ドラマ序盤から、トキの家が借金まみれで小学校に通えなくなる、婿入りした銀二郎(寛一郎)が貧困と理不尽な重圧から失踪するなど、史実に基づいた重いエピソードが続いてきました。これらの描写は、当時の厳しい時代背景を色濃く反映しており、視聴者に深い印象を与えています。
雨清水家の没落:北川景子演じるタエの衝撃的な姿
特に、第6週(11月3日〜7日)からは、北川景子(39)と板垣李光人(23)が演じる雨清水親子の登場が注目を集めています。かつて名家だった雨清水家は、当主の傳(堤真一)の死と織物工場の閉鎖により没落し、現在(1890年)は住む場所もなく、破れ寺に身を寄せながら苦しい生活を送っています。
タエのモデルはセツの実母・チエ、三之丞のモデルはセツの弟・藤三郎とされており、史実を基にした設定がドラマの重厚さを増しています。11月5日放送回では、タエがボロボロの姿で物乞いとして再登場するという衝撃的な展開が描かれました。当初はプライドから施しを受けても頭を下げなかったタエでしたが、7日放送回では、さらに身なりが朽ち果て、虚ろな目で頭を下げるという痛ましい姿が描かれ、視聴者に強い衝撃を与えています。制作統括の橋爪國臣氏によると、物乞いに身を落としたタエの容姿には北川景子本人のアイデアも反映されており、橋爪氏が「やりすぎじゃないですか」と思うほどの徹底した役作りで撮影に臨んだといいます。
NHK連続テレビ小説『ばけばけ』で三之丞を演じる板垣李光人
板垣李光人演じる三之丞の世間知らずな「就活」とその末路
一方、三之丞は商人の家を回り直談判する「就活」を試みるものの、どこへ行っても「社長にしてほしい」と主張し相手を怒らせ、乱暴に追い出される有様です。この世間知らずな行動には、視聴者からも「世間知らずすぎる」「自分の状況が分かっていない」といった声が上がっています。しかし、今後の史実を考えると、タエ以上に三之丞がさらに悲惨な末路をたどることが示唆されており、現状でも史実よりは美化されて描かれている部分があるといいます。
『ばけばけ』は、史実を背景にした貧困と苦難の描写を通じて、当時の人々の生き様と家族の絆を深く掘り下げています。北川景子と板垣李光人による、時に痛々しいほどのリアルな演技は、ドラマの壮絶な世界観を一層引き立て、視聴者の心に深く響いています。





