【ソウル=依田和彩】韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)前大統領の妻、金建希(キムゴンヒ)氏を巡る複数の不正疑惑で、ソウル中央地裁は12日、資本市場法違反などの疑いで逮捕状を発付した。韓国・聯合ニュースなどは、特別検察官がその後、金氏を逮捕したと一斉に報じた。韓国大統領経験者の妻の逮捕は初めて。
金氏は、ドイツ車の輸入販売会社の株価操作に関与した疑いが持たれている。このほか、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)側からカンボジアでの事業に便宜を図るよう依頼され、見返りに高級ブランドバッグを受け取ったあっせん収賄の疑いなども浮上しており、特検は計16の事件について捜査を進めている。
6日に金氏が初めて特検の事情聴取に応じると、特検は翌7日にソウル中央地裁に逮捕状を請求。12日午前、金氏が出席して同地裁で令状審査が行われていた。聯合ニュースなどによると、金氏は既にソウル市内の拘置所に収監された。
一方、内乱を首謀した罪で公判中の尹氏を巡っては、別の特検が捜査を進めており、7月に職権乱用・権利行使妨害などの罪で逮捕、追起訴している。尹氏も現在、別の拘置所に収監されており、韓国の元大統領夫妻が同時に身柄を拘束されるのは初めてだという。