自民党内で続く「石破おろし」を巡る内部対立が泥沼化の様相を呈しています。石破茂首相の退陣を求める党内右派が攻勢を強める一方で、世間からの視線は依然として冷ややかです。「ポスト石破」の総裁候補として名が挙がる個性的な面々や、裏金問題などの不祥事の根本原因に向き合わず内部抗争に明け暮れる自民党への国民の拒否反応が顕著となっています。
深まる「石破おろし」の攻勢と党内の温度差
2025年7月の参院選で自民党は39議席にとどまる大敗を喫しました。この敗戦を受け、裏金問題で石破政権下で冷遇されていた旧安倍派の議員らを中心に、石破首相の退陣を求める動きが加速しています。8月8日に開催された両院議員総会の終了後、右派系の議員たちは「石破おろし」を公然とアピールしました。青山繁晴参院議員は翌9日の記者会見で、「衆参両院の選挙で負けて辞めなかった首相はこれまでいない」と述べ、両院議員総会では総裁選の前倒しを求める声が「圧倒的に多かった」と主張しました。
裏金問題に関与した西田昌司参院議員も同日、「石破さんが辞めるか否かは、様々な方がもう一度総裁選に出て議論されれば、そこで多くのことが見えてくる」と発言し、早期の総裁選実施を改めて提言しました。しかし、衆参計297人のうち253人が出席したとされる両院議員総会の冒頭では空席が目立ち、SNS上では「閑散としている」「こんなにガラガラなの?」といった疑問の声が多数上がりました。反石破派が要求する総裁選の前倒しには、国会議員と都道府県連の過半数の要求が必要であることから、党内の温度差が今後の焦点となるでしょう。また、毎日新聞やJNNが参院選後に実施した世論調査では、石破内閣の支持率が数ポイント上昇しており、自民党内の「石破おろし」が世論の支持を得られるかは疑問視されています。
自民党の内部対立と「石破おろし」の行方を示すイメージ
「裏金問題」議員への厳しい世論と専門家の見解
「石破おろし」の主力となっている裏金問題に関与した議員たちに対し、国民からは厳しい視線が向けられています。8月10日に放送されたTBS系「サンデーモーニング」に出演した朝日新聞編集委員の高橋純子氏は、「自らの責任に向き合うことなく人のせいばかりにしているのは、政治家としていかがなものか」と厳しく批判しました。さらに、「自分自身の復権を狙って政治闘争を仕掛けているのが、国民の目にどう映っているのか」と疑問を呈しました。
元大阪市長の橋下徹氏も、同日放送された読売テレビ「そこまで言って委員会NP」で、石破首相の心境を「(自民党が)これだけ体たらくになったのは俺のせいじゃないだろう、お前らのせいだろう。その旧安倍派のメンバーが今、なぜ俺に文句を言っているのか」と代弁。続けて、「石破さんは本当によく我慢している。私だったら大暴れしている」と述べ、石破首相の冷静な対応を評価しました。また、橋下氏は石破首相が進めようとしている企業・団体献金の規制強化について、「もし自民党が嫌がることを石破さんがやり続けたら、場合によっては支持率が上がるかもしれない」と分析し、今後の政策動向が世論に影響を与える可能性を示唆しました。
自民党内の権力闘争が激化する中で、国民は政治家が「裏金問題」の責任に真摯に向き合い、信頼回復に向けた具体的な行動を起こすことを求めています。
参考文献
- J-CASTニュース. (2025年8月12日). 自民党内の「石破おろし」は、世の中の理解を得られるのか. Yahoo!ニュース. https://news.yahoo.co.jp/articles/353977f8761cdeecfafd4e153f340f9b5d390e9f