参政党の神谷宗幣代表は中央社の単独インタビューに応じ、故安倍晋三元首相が提唱した「台湾有事は日本有事」との見解に対し、「台湾と日本は運命共同体」であると述べ、全面的に賛同する姿勢を示しました。有事の際には日本の海上交通路(シーレーン)が影響を受け、それは日本にとって死活問題となるとの認識を表明。このインタビューは7月31日、東京の衆院議員会館で行われ、神谷氏にとっては参院選後初の海外メディアによる単独取材となりました。
「台湾有事」は日本にとって死活問題:シーレーンの重要性
神谷代表は、「台湾有事を起こさせてはならない」という自身の立場を強く強調しました。もし台湾と中国、あるいは日本と中国の間で軍事衝突が発生すれば、双方、特に台湾と日本は甚大な被害を被ると指摘。その上で、台湾海峡における有事は、日本にとって極めて重要なエネルギーや食料の輸送ルートであるシーレーンのコントロールを脅かし、日本の経済活動や国民生活に直接的な影響を与える「死活問題」となるとの見方を示しました。このため、紛争を未然に防ぐための強力な抑止力の構築が不可欠であると訴え、有事を煽るような動きへの対策の必要性も示唆しました。
軍事衝突の抑止と対話の重要性
神谷氏は、日中間の軍事衝突の回避が最優先事項であると繰り返し述べました。台湾と日本の安全保障は密接に連携しており、どちらか一方の有事がもう一方に深刻な影響を与えるという共通認識を持つことが重要だとしています。また、不必要な緊張を高めるのではなく、外交努力と多角的な対話を通じて、地域全体の平和と安定を維持するための具体的な方策を模索するべきだと主張しました。
参政党の神谷宗幣代表が東京都内で中央社のインタビューに応じる様子。
日台間の交流強化への提言
日本政府と台湾当局間の高官交流に関して問われると、神谷代表は中国が国連に加盟して以降、日本政府の対応が「弱腰」になっていると指摘しました。このような状況を打開するため、政府間交流の不足を補う形で、議員間交流の重要性を強く訴えました。さらに、米国を巻き込みながら、より多角的な視点から日台関係の強化に関する議論を進めるべきだと提言しました。
神谷代表は、今後さらに台湾との議員間交流および地方間交流を拡大していきたいとの意向を表明しました。参院選前の時点で、参政党の衆参両院議員5名全員が、日台関係の強化を目的とする超党派議員連盟「日華議員懇談会」のメンバーであったことを明かし、新たに選出された参院議員にも同懇談会への加入を促し、積極的に台湾を訪問する意向を示しました。
長崎平和祈念式典における台湾招待問題への言及
また、長崎市が8月9日に開催した原爆の日の平和祈念式典において、市側が5月の時点で台湾を招待しない見通しを示していた問題についても言及しました。神谷代表は、参政党としてこの決定に対し正式に抗議文書を提出していたことを明らかにしました。この行動は、日台間のあらゆるレベルでの交流と、国際社会における台湾の地位向上への参政党の強いコミットメントを示すものと位置付けられています。
結論
参政党の神谷宗幣代表は、中央社のインタビューを通じて、「台湾有事は日本有事」という認識の下、日台が「運命共同体」であることを改めて強調しました。海上交通路の重要性を指摘しつつ、軍事衝突の抑止と日台間の多層的な交流強化の必要性を力説しました。特に、議員間交流の活発化や長崎平和祈念式典における台湾招待問題への言及は、同党の具体的な行動と対台湾政策への熱意を示すものです。
参考資料
- 中央社 (CNA)