現在、日本国内では新型コロナウイルスの感染者数が再び増加傾向にあります。特に注目されているのが、通称「ニンバス」と呼ばれる新たな変異株です。この「ニンバス」は、これまでの新型コロナウイルスとは異なり、「カミソリを飲み込んだような」と表現されるほどの強烈な喉の痛みを伴うことが特徴とされています。
愛知県名古屋市熱田区にある今泉クリニックの今泉勲院長によると、7月頃から新型コロナの患者が増え始め、週を追うごとにその数は増加しているとのことです。愛知県全体のデータを見ても、6月中旬には1医療機関あたりの感染者数が1人程度だったものが、7月以降に増加し、現在では6人を超えています。この流行の背景には、オミクロン株の派生型である「ニンバス」の拡大があると今泉院長は指摘します。
カミソリを飲み込んだような激しい喉の痛みを訴える人々のイメージ
「カミソリのような喉の痛み」ニンバス独特の症状
「ニンバス」株に感染すると、これまでの新型コロナウイルス感染症に見られた風邪のような症状に加え、非常に強い喉の痛みが現れるのが特徴です。その痛みは、まさに「カミソリの刃を飲み込んだような痛み」と例えられるほど。今泉院長は、「そこまでではないとしても、のどの違和感やイガイガ感、つばを飲み込む際の痛みが顕著に出る」と説明します。
新型コロナ「ニンバス」について解説する今泉クリニックの今泉勲院長
今泉院長は、現在の「ニンバス」の感染拡大はまだピークを迎えておらず、今後さらに増加する可能性があると予測しています。特に、人の移動が活発になる時期は感染拡大のリスクが高まります。お盆期間が始まり、多くの人が密閉された空間に集まる機会が増えることで、さらなる感染拡大が懸念されています。
お盆の帰省と猛暑がもたらす感染リスク
今年の夏は記録的な猛暑が続いており、群馬県伊勢崎市で観測史上最高の41.8℃、東海地方でも三重県桑名市で40.4℃を記録するなど、「災害級」ともいえる暑さに見舞われています。このような酷暑が、ニンバスの感染リスクを高める要因になっていると今泉院長は警鐘を鳴らします。
暑さによって体に疲労が蓄積し、食欲不振に陥ることで十分な栄養摂取が難しくなります。これにより免疫力が低下し、ウイルス感染への抵抗力が弱まってしまうのです。
愛知県における新型コロナウイルス感染者数の増加傾向を示すグラフ
「ニンバス」株による重症化の可能性については、以前の株に比べて全体的には少ないとされています。しかし、高齢者や元々免疫力が低下している方々にとっては、重症化のリスクが依然として存在するため、注意が必要です。
今泉院長は、特に帰省などで普段会わない高齢者と接触する際には、マスクを着用するなど感染対策を徹底するよう呼びかけています。自身の感染を防ぐだけでなく、大切な人々にウイルスをうつさないという視点を持つことが重要です。