先月中旬、ノルウェーの首都オスロを訪れていたストルテンベルグ財務相(当時NATO事務総長)が、ドナルド・トランプ前米大統領からの突然の電話を受けました。この通話の内容は単なる関税問題にとどまらず、トランプ氏がノーベル平和賞への強い願望を表明していたことが、ノルウェー有力経済紙ダーゲンズ・ナーリングスリーブによって報じられました。同紙は匿名の情報筋を引用し、「トランプ大統領はノーベル賞を希望し、同時に関税について議論することを望んだ」と伝えています。ストルテンベルグ財務相はロイター通信に対し、電話の事実を認めたものの、トランプ氏がノーベル平和賞に言及したかどうかについては言及を避けました。
トランプ氏のノーベル平和賞への長年の関心
トランプ前大統領は、その任期中から自身の外交的成果を繰り返し強調し、ノーベル平和賞への関心を示してきました。特に、ノーベル平和賞を受賞した歴代米国大統領4人のうち、現職で唯一就任約9カ月後に受賞したバラク・オバマ元大統領に対する不満を露わにし、「私はオバマよりも資格がある」という主張を繰り返してきました。この発言からも、彼がこの国際的な栄誉をいかに重視しているかが伺えます。
ウクライナ停戦と受賞の可能性
現在、米アラスカでロシアのプーチン大統領との会談が控えているトランプ氏ですが、もし彼がウクライナ戦争の停戦に向けて顕著な成果を出すことができれば、自身がノーベル平和賞を受賞するに値するという考えをさらに強めるだろうとの見方が出ています。すでにパキスタン、イスラエル、カンボジアといった複数の政府が、トランプ氏のノーベル平和賞受賞を支持し、ノルウェーノーベル委員会に公式に推薦しています。これらの動きは、国際社会の一部にもトランプ氏の貢献を評価する声があることを示しています。
ノーベル平和賞への強い意欲が報じられたトランプ前大統領とストルテンベルグ氏の会談
ホワイトハウスとSNSでの動向
ホワイトハウス内部でも最近、ノーベル平和賞への言及が増加していると報じられています。NBCの14日付の分析によると、ホワイトハウスのレビット報道官は先月の公式ブリーフィング4回のうち3回で、トランプ氏が受賞資格を有するという発言をしています。トランプ氏自身も、2期目に入ってから自身のソーシャルメディアにノーベル賞関連の投稿を7回行っており、そのうち6回が今年の6月と7月に集中していることが確認されています。これらの動きは、トランプ氏陣営がノーベル平和賞受賞を強く意識していることを示唆しています。
ノーベル平和賞受賞への最大のチャンスと選考プロセス
NBCは、「トランプ大統領にとってノーベル平和賞受賞のための最大のチャンスは今週訪れる」と分析しています。もし彼がウクライナに公正な条件での停戦を引き出すことができれば、それはオバマ大統領やジョー・バイデン現大統領も達成できなかった外交的快挙となる可能性があると指摘しています。ノーベル平和賞は、スウェーデン王立科学アカデミーが主管する他のノーベル賞とは異なり、ノルウェーノーベル委員会が受賞者を選定し、毎年10月に発表されます。ウクライナ情勢の今後の展開が、トランプ氏のノーベル平和賞受賞の行方を大きく左右する可能性があります。