李在明韓国大統領は15日の光復節演説で、朝鮮半島の南北分断と国内の政治的対立からの脱却を訴えた。しかし、日本への協力姿勢とは裏腹に北朝鮮は対話を拒否し、国内の特別赦免は新たな対立を生むなど、その理想と現実には大きな乖離がある。
対日関係:未来志向と「日本重視」
李大統領は日韓の歴史問題に触れつつ具体的な批判を避け、「未来志向の協力」を強調した。これは、昨年までの尹錫悦前政権への「対日屈辱外交」批判から一転した姿勢だ。深まる米中対立や北朝鮮の核・ミサイル高度化といった危機的状況下、日本との協力は不可欠との認識を示している。李大統領は24日からの訪米に先立ち、23日に日本を訪れ石破茂首相と会談する。韓国大統領として初の「米国より日本を先に訪問」する外遊は、彼の日本重視の表れとみられている。
韓国の李在明大統領と日本の石破茂首相が会談する様子のイメージ
対北朝鮮政策:対話拒否で停滞
北朝鮮に対して、李大統領は「現在の北側の体制を尊重し、いかなる形態の吸収統一も追求しない」と表明。対北宣伝放送用の拡声器を撤去するなどした措置にも言及した。しかし、北朝鮮の金与正労働党副部長は14日、李大統領の発言を否定し、「韓国との関係を改善する意思は全くない」と表明。これにより、南北関係の改善は当面見込めない状況が続いている。
国内政治:分断脱却と深まる亀裂
李大統領は演説で「分裂の政治からの脱皮」を掲げ、15日夜には「国民任命式」と称して自身の就任を祝う式典を開催した。だが、最大野党「国民の力」や他の野党はボイコットした。これは、政権が特別赦免の対象に、子供の不正入学で有罪となり服役していた曺国元法相や、元慰安婦への寄付金横領事件で執行猶予付き有罪が確定した尹美香元国会議員を含めたことへの強い反発による。言葉とは裏腹に、政権自身が政治的分断を深めている現実が浮き彫りとなった。
李在明大統領の特別赦免に反発する韓国最大野党「国民の力」の議員たち
結論
李在明大統領は光復節演説で朝鮮半島の分断克服と国内和解を訴えたが、その道のりは多難だ。日本との協力構築へ動く一方で北朝鮮は対話を拒否し、国内では特別赦免を巡る政治対立が激化。李政権が掲げる「分断脱却」の言葉と行動の乖離が浮き彫りとなっている。
参考資料
出典元: Yahoo!ニュース