アメリカのドナルド・トランプ前大統領が、ノルウェーの財務相に対し、ノーベル平和賞の受賞を強く望んでいると伝えていたことが明らかになりました。ノーベル賞の選考に深く関与するノルウェーの政府関係者への異例の「受賞要請」は、国際社会に波紋を広げています。これは、ノルウェー財務相との関税協議の電話中に突然伝えられたといいます。
トランプ氏の「受賞要請」の衝撃
この新たな事実は、7月にトランプ氏がノルウェーのストルテンベルグ財務相に電話した際に判明しました。通常であれば関税に関する協議が主な議題となるはずが、その中でトランプ氏は「ノーベル平和賞を受賞したい」という自身の願望を直接伝えたと報じられています。この要請は、ノーベル平和賞の選考プロセスにおいて重要な役割を果たすノルウェーに対し、一種の「圧力」をかけたものと受け止められる可能性があります。トランプ氏は、アラスカで日本時間の16日に行われるウクライナ侵攻後初の米露トップ会談で、停戦実現への意欲を見せており、その先にノーベル平和賞の受賞を見据えているとされます。
アラスカで米露首脳会談に言及するNNN山崎大輔記者。トランプ氏が目指す停戦とその先のノーベル平和賞受賞の背景にある場所。
過去の執着と推薦の経緯
トランプ氏はこれまでも、ノーベル平和賞への強いこだわりを示してきました。2020年には「私のノーベル平和賞はどこ?」と発言し、2024年9月には「多くの人が『あなたがノーベル賞を受賞するべき』と言ってくる」と述べ、さらに2025年2月には「彼らは私に平和賞をくれない」と不満を漏らしています。ホワイトハウスの公式X(旧ツイッター)も12日、「世界がトランプ氏のノーベル平和賞受賞を求めている」と投稿し、イスラエルやパキスタンなどがトランプ氏をノーベル平和賞候補に推薦しているとしました。
トランプ氏が実際にノーベル平和賞候補に推薦された過去もあります。2018年には初の米朝首脳会談が開催され、翌年にも立て続けに実現。この核・ミサイル開発阻止への尽力に対し、当時の日本の安倍晋三元首相がトランプ氏を平和賞候補に推薦したと、本人が明らかにしています。
2019年、ノーベル平和賞候補に安倍元首相から推薦されたことに言及するトランプ大統領。
2019年は受賞には至りませんでしたが、2期目の大統領選を控える今年の受賞に期待をかける声もあります。
「6つの戦争阻止」と悲願の行方
トランプ氏は今年7月にも「私は6つの戦争を阻止した。平均すると1か月に1つの戦争を阻止していることになる」と述べ、自身の平和貢献の実績をアピールしています。悲願であるノーベル平和賞の受賞を虎視眈々と狙うトランプ氏ですが、10月に予定されている発表でその願いが叶うのか、国際社会の注目が集まっています。