ABEMAトーナメント2025、チーム藤井が激戦制し決勝進出 藤井竜王・名人「チームの力に感謝」

将棋界の早指し団体戦「ABEMAトーナメント2025」準決勝の第2試合が8月16日に行われ、藤井聡太竜王・名人(王位、王座、棋聖、棋王、王将、23)率いるチーム藤井が、チーム菅井とのフルセットに及ぶ大熱戦を5勝4敗で制し、見事決勝進出を果たしました。序盤はリードを許す苦しい展開となったチーム藤井でしたが、選手一丸となった総力戦で猛追を見せ、最終局までもつれ込む白熱の勝負を制覇。勝利を決めた藤井竜王・名人は試合後、「チームの力で決勝進出できたことを嬉しく思います」と喜びを語りました。

激戦の幕開け:フレッシュ対決から藤井竜王・名人の登場

準決勝の火蓋を切った第1局は、チーム藤井の古賀悠聖六段(24)とチーム菅井の藤本渚六段(20)によるフレッシュな若手対決が実現。相雁木の出だしから中盤のねじり合いに入ると、藤本六段が持ち味を活かして徐々にリードを広げます。古賀六段も渾身の勝負術を見せますが、藤本六段が大迫力の終盤戦で攻めを凌ぎ切り、チームに幸先の良い白星をもたらしました。

しかし、このまま流れを渡すまいと、第2局にはチーム藤井の大将である藤井竜王・名人が登場。チーム菅井の西田拓也六段(33)は得意の四間飛車を志向し、強気の振り飛車を見せつけました。これに対し藤井竜王・名人は、さすがの安定感で冷静に対応。誰もが見えていないと踏み込めない8二香からの美しい詰みを正確に読み切り、勝利を収めました。まさにチーム名である「詰将棋パラダイス」通りの強さを見せつけた一局となりました。

菅井八段の活躍とチーム藤井の逆襲

続く第3局では、奨励会同期である菅井竜也八段(33)と斎藤慎太郎八段(32)が激突。先手番の菅井八段は向かい飛車の出だしから力強い指し回しを披露し、堅固な穴熊を活かして攻めに専念。“菅井穴熊”が炸裂する快勝譜でチームのリードを広げます。さらに、初戦と同一カードとなった第4局でも、藤本六段が再び登場。雁木模様の出だしから金を前に繰り出す工夫を見せ、中盤から加速度的にリードを拡大して白星を奪い取りました。

リードを奪われる形となったチーム藤井も、そう簡単には屈しません。第5局では、黒星発進となっていた斎藤八段が西田六段を相手に強い執念を感じさせる指し回しを見せて勝利を掴みます。そして、誰もが期待した藤井竜王・名人VS藤本六段の次世代対決が実現した第6局では、藤井竜王・名人が時間切迫の中、鮮烈な4五銀の一手を繰り出して連勝。猛烈な追い上げを見せ、ここで3勝3敗と星を並べ、勝負を振り出しに戻しました。

逆転劇と運命の最終局

星が並び仕切り直しとなった第7局では、勢いに乗ったチーム藤井の古賀六段が敵将の菅井八段を撃破する大金星を挙げました。この一局を決定づけた3三金直の好手は、チームメイトの藤井竜王・名人からも「素晴らしい」と大絶賛されました。しかし、チーム菅井も負けじと第8局では、第5局と同じ斎藤八段と西田六段の再戦に。終盤で角切りから一気に勝負をかけた西田六段の迫力ある攻めが決まり、見事にリベンジを果たします。

ABEMAトーナメント2025準決勝を制し、決勝進出を決めたチーム藤井のメンバー(左から藤井聡太竜王・名人、斎藤慎太郎八段、古賀悠聖六段)ABEMAトーナメント2025準決勝を制し、決勝進出を決めたチーム藤井のメンバー(左から藤井聡太竜王・名人、斎藤慎太郎八段、古賀悠聖六段)

このドラマティックな展開を誰が予想したでしょうか。運命の最終局では、ファン待望のリーダー対決が実現しました。タイトル戦でも2度激突した経験を持つ藤井竜王・名人と菅井八段の一戦は、後手番となった菅井八段が三間飛車を志向します。中盤は菅井八段がペースを握ったかに見えましたが、藤井竜王・名人がじわじわと局面を複雑化させることに成功。形勢を押し戻すと、最後まで緩みなく押し切り、チームの勝利を決定づけました。

藤井竜王・名人のコメントと決勝への展望

4年ぶりの決勝進出を決めた藤井竜王・名人は、「一進一退という展開で星取りでも追い込まれました。フルセットということで緊張もあり、最終局も苦しい局面がありましたが、チームの力で決勝進出できたことを嬉しく思います」とコメント。チームメイトの斎藤八段、古賀六段に対しても「意見交換しながら楽しく過ごせた。2人の活躍にも感謝したい」と労いの言葉をかけ、チーム全体の結束を強調しました。

いよいよ今期のABEMAトーナメントも決勝戦を残すのみ。優勝の栄冠を掴むのは、2度目の頂点を目指す「チーム藤井」か、初優勝がかかる「チーム天彦」か。将棋ファンの注目が集まる運命の決勝戦は、8月23日に予定されています。

参考資料

  • ABEMA/将棋チャンネル
  • ABEMA TIMES編集部

◆ABEMAトーナメント2025概要

「ABEMAトーナメント」は、将棋界の早指し団体戦として知られ、第1回、第2回は個人戦として開催されましたが、第3回以降は団体戦として行われています。今大会は8回目の開催となります。

ルール概要:

  • ドラフト会議にはリーダー棋士7人が参加し、それぞれ2人ずつを指名し、3人1組のチームを結成します。
  • 残りの1チームは、指名漏れした棋士が3つに分かれたトーナメントを実施し、勝ち抜いた3人が「エントリーチーム」として参加します。
  • 全8チームで大会が進行します。
  • 予選は4チームずつ2リーグに分かれ、各リーグ上位2チームが本戦トーナメントに進出します。
  • 試合は全て5本先取の9本勝負で争われます。
  • 対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算されるフィッシャールールが採用されています。
  • 優勝賞金は1000万円です。